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「あんな嫌そうな涼太、なかなかないからなぁ…。
かわいそうやけど…代わってやれへんし…」
せめてAちゃんのメンタルのフォローしとこうかなぁ〜って、ニコニコしてから
「体のフォローもできるで?」
ってニヤニヤ。
『間に合ってます!』
って笑いながら言うと、残念!ってケラケラ笑う。
見ると、亜嵐さんの腕にもくっついていて…
イケメンなら誰でもいいのかな……。
少し話してたいたら、マネージャーさんが来て、そろそろお開きだからって数原さんに声をかけた。
ライブ後だし、今日はもう2次会もなく解散らしく、
メンバーやメインのスタッフさんはまた後日お疲れさま会があるんだって、会場に来る途中で聞かされた。
お姉さんに捕まってた涼太さん達も、マネージャーさんに声をかけられてホッとした顔でステージに上がってる。
「Aちゃん、見た?今の安心した顔……
ホンマ、気の毒やわ〜」
苦笑してる望月さんに激しく同意して、ステージに集まるみんなの後ろに近づいた。
メンバーさんの挨拶は、会場にいるみんなが程よく酔ってるから、ご機嫌に歓声を上げながら盛り上がる。
ツアーを終えて、晴れ晴れしたメンバーさんの顔を見てたら、期間中にあった色々な事を思い出して……
なんとも複雑な感覚……。
横で望月さんが
「その顔は、何考えてる顔なん?」
って聞いてきて、
『複雑だなぁ〜って顔です』
って正直に答えたら、ハハハッて笑ってる。
「そうやなぁ〜。色々あったもんな……Aちゃんには……」
涼太さんと出会って、まだ一年たってないのに、いろんな事がありすぎて……。
手放しで、いい思い出です!とは言えない……。
私の肩をそっと抱き寄せてくれた望月さんに、
『惚れちゃうのでやめてください』
って言うと
「愛人やったらえぇよ?」
私にも愛する彼がおるからねって笑う。
泣きそうになってたのに、そんな事を言うからすっかり涙も止まって、
『お互いに愛人ですか?』
「それえぇやん?」
ってクスクス笑う。
ステージにいる涼太さんと目が合って、なんで笑ってるの?って感じで首を傾げる。
笑顔で首を横に振ると「何?」って口パク。
「王子、気になってんで?」
って望月さん。
「ってかな、ずっとAちゃんのこと見てたからな?
泣きそうやったのも、複雑〜って顔も、笑顔も、全部見られてんで?」
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作者名:ひな | 作成日時:2022年5月13日 23時