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数原さんは少し離れたところのソファーに座ると
「山下さんとこのカフェ、手伝どぉとんのやろ?」
あそこの奥さん、パワフルよな?
ってクスクス笑う。
『ですね……。
最初なんて、いきなりエプロン渡されて、後でバイト代出すからこのまま手伝って!でしたからね?』
私も笑いながら話すと、マジで?って驚いてる。
2人でクスクス笑ってから、不意に静かになった病室。
「なぁ……聞いてえぇ?」
数原さんを見たら、とても真剣な顔をしていて…
「なんで別れないかんかったん?
ここに入る前、マネが謝っとったやろ……?
どういう事?」
大きく息を吸い込んで、言葉を出そうとした瞬間……
「A………?」
小さな声で呟いて、うっすらと目を開ける涼太さん。
「涼太…やっと気付いたか…」
「え?龍友君……?」
数原さんは、涼太さんの側に行き、お説教開始。
「お前なぁ!熱があるんやったら言えや!
無茶すんな…
いきなり隣でぶっ倒られた、俺の身になれや……」
涼太さんは「ごめんなさい……」と呟いて、
私の顔を見て目を見開いたあと、また目を閉じた。
「龍友君……俺、ヤバいかも………
幻覚見える……」
数原さんは、「は?」って驚き、すぐに理由に気付いて軽く吹き出すと、
「幻覚やないで…本物や」
って優しい声で続けた。
目をもう一度開けると、何か言いかけて…
そのタイミングでマネージャーさんが「失礼しまぁす」って戻ってきて、
「え?涼太さん?!意識、戻ったんですか?
………良かったぁ……
あっ…先生呼んできます」
またバタバタと病室を出て行った。
「マネに泣き付かれたんやで?
涼太がなかなか目覚まさんって……」
倒れた時の状況を簡単に説明する数原さんの話しを聞きながら、私の方に手を伸ばした涼太さんは
「……マジで本物?」
って呟いて
「お前なぁ…聞いとったんか?」
って、ため息をついた。
マネージャーさんが看護師さんと一緒に戻ってきて、私は数原さんと一緒に少し離れた。
血圧を測ったりしている間に医師が来て、マネージャーさんや涼太さんと話しているのを聞きながら、少し安心してため息をついた。
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作者名:ひな | 作成日時:2022年5月13日 23時