SHINE (ページ34)

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涼太くんからもらった鍵でマンションに入ると、シャワーから出たところだったみたいで、髪を拭きながら迎えてくれた。

「Aも入っておいで」

って浴室に連れて行かれた。

脱衣＆洗面スペースには、私が使ってるコスメが並んでて、私サイズのルームウェアも置いてある。

この前来たときに、私が使ってるのを確認してポチッてくれてたらしい。

王子はやっぱり王子…ってつい言葉にすると、何て〜？ってまたデコピン。
もちろん全然痛くないけど。

ルームウェアを着てスキンケアしてると、

「やっと使ってもらえた～」

って嬉しそうで、ずっとこの日を待ってましたぁ〜ってふざけてる。

素の涼太くんは、小学生男子みたいな一面もあって、完璧すぎなくて安心する。

以来、毎日のように涼太くんのマンションで過ごしてる。

クローゼットに、私の着替えを入れるスペースも空けてくれて、必要なものはほとんど揃っている。

もう、ここに引っ越せばいいのにって、いつも涼太くんは言うけど、さすがに職場にこの高級マンションの住所は申請できないからと、アパートの契約は続けてる。

３日に１回くらい仕事の帰りにアパートに戻って、郵便物をチェックしてから涼太くんのマンションへ戻る…そんな毎日。

相変わらず涼太くんは忙しくて、ドラマや映画の撮影や雑誌の取材…グループの仕事だけじゃなく、個人活動も多くて疲れた顔で帰ってくる。

テレビではキラキラスマイルの王子さま。
でも、私にはいろんな顔を見せてくれる。

子どもみたいにはしゃいだり、かわいく拗ねたり甘えたり。
反対にものすごく頼れるお兄さんだったり、けど意外と抜けてたり。
朝が苦手で、中々起きれなかったり。

今も、疲れた顔でボーッとしてる。

『涼太くん？大丈夫？魂抜けてる顔してたよ』

久しぶりに一緒に夕食を食べた後、ソファーでくつろぐ涼太くんにコーヒーを入れて渡す。

ありがとってカップを手にするけど、そのまま動かない。

『今日、私、アパート帰ろうか？』

『ひとりでゆっくり寝たほうが、疲れとれるんじゃない？』

私がアパートに帰る話をすると、はじめはどういう事？って顔してたけど、すぐに眉間にシワを寄せる。

「ねぇ、バカなの？」

うわっ、久しぶりに聞いたかも。
王子のバカ発言。

「俺、何回ここに引っ越せって言ってる？
ひとりで寝たかったら言わへんわ！」

拗ねたように怒る。
この顔も、テレビでは見れない顔…。