【#コンパス】押して駄目なら引いてみろ【アダム＝ユーリエフ】

再び押して5日目 ページ18

「…うん、よし」


必要なものだけを鞄に入れ、アダムさんの部屋へ向かった。



「アーダームーさーんまだー？」


ｽﾊﾟｧﾝｯ!と凄まじい音を立てて扉を開けると、上半身裸のアダムさんとバッチリ目が合う。




「……」
「……」

「す…みませんでしたァ！！」


再びｽﾊﾟｧﾝｯ!と音を立てて閉める。

その直後に、半裸のアダムさんが出てきた。


「ちょっ服着ましょうよ……」
「…なんだ。俺の身体を見て興奮しているのか？」

「自惚れるなはよ着ろ」



また出てこないように、アダムさんを部屋に押し込んで扉にもたれかかる。


「早ーく。女より時間かかる男は嫌われるよー……どぅわっ！？」



もたれかかっていた扉が勢い良く開き、それに押されて盛大に転んでしまった。


「なんだいたのか」
「いるに決まってるじゃん！？」



その綺麗な顔に合わさるジャケットやネックレスに、不覚にも心臓が跳ねてしまう。

踝を出しているのも、自分的に好みだった。


「…は、早く行くよ……」
「何故声が揺れている。やっぱり俺の私服に興奮し」
「てない！」



街を歩いていると、此方に注がれる多くの視線。


恐らくアダムさんの容姿が原因だろう。



「…もうちょっとその王子オーラを抑えることはできなかったの……」
「これが普段の俺だ」


女性達の視線に耐えながら、賑やかな街を早足で進んだ。

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