【#コンパス】押して駄目なら引いてみろ【アダム＝ユーリエフ】

再び押して4日目 ページ17

「ちょっと洗面所行ってくる」

「は？ちょっ」


台所で傷口を洗うと、衛生上良くない気がする。

口に入れる物を扱う所だから。


「待てって……どうしたんだ」
「大丈夫すぐ戻るから…サボりやしないよ」


軽くアダムさんの手を払うと、その拍子に血が付いてしまう。

少し目を見開いて、ふっと息を吐いた。





「…はぁ……怪我したならすぐ言えよ」
「大した怪我じゃないし…大丈夫だって」

「お前一応女だろう。それなのに傷でも残ったらどうする気だ」

「それさっき私をフルボッコにした人が言うかい」



手の温度は低いが、どこか温かくて安心した。






「…よし、できた」
「……ありがと」


朝食も出来上がったため、皆を起こしてリビングへ向かった。





「やっぱりAとアダムが当番の時はずば抜けて完成度が高いなぁ！！はっははは！！」

「…総帥、朝から声でかい」
「おお？そういえばお前らさっき2人してアダムの部屋から………」
「あああああ！！違う！！」

「へえ〜〜？お前らもうそういう関係か〜？」



正面に座るさっちんは、頬杖をついてニヤニヤしながら此方を見据える。

アリーナオフの日のため、ラフなパーカーが無駄に似合っているのも腹立つ。


「ま、どんな関係かは…皆さんの解釈にお任せしますよ？」



こんな時だけ紳士の顔をして、軽くウインクをして部屋へ戻って行く。

すれ違いざまに、「準備早くしろよ」と耳打ちしてきた。


急いで片付け、自分の部屋へ準備に向かった。

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