君を忘れるために【紫】3 (ページ6)

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手遅れをさらに実感する　紫side ページ6

「良かったぁ………」
「実はちょっとドキドキしながら提言したんだよ、俺」
「阿部ちゃん、ていげん、って何？」
「ふっか、ごめん。ちょっと黙ってて」

話の腰を折ってしまったらしく、阿部ちゃんに睨まれると。
Aがにっこり笑って。

「阿部さん、岩本さん、ありがとうございます。

　深澤さんも大切な人と、お幸せに」

そう言って、部屋を出ていってしまう。

「ふっか、いいのかよ」
「目黒、めちゃくちゃ格好良かったじゃん。
　俺、勝てないわ。あれには」
「勝ち負けじゃなくない？」
「とりあえず、これからも気を引き締めつつ、
　自分たちの気持ちも大切にさせてもらえる環境にして頂いて
　ありがとうございます！！」

阿部ちゃんが締めくくってくれて。
偉いさんは苦笑しながら、彼女と約束しちゃったし、
君たちは僕たちが思っていた以上に頑張ってくれているから、
表現力の幅が広がると思えば悪くないはずだと思う。と
返してくれた。

ちゃんと節度と注意は必要だとは言われたけど。

だけど、

何だかいろんなことがスッキリしたはずなのに。

気持ちだけはどうしても上手く整理しきれなくて。

そっとありがとうございました。と告げて会議室を出ると、
目黒に電話する彼女が見えて。

もう本当に手遅れなんだなと、胸のもやもやを更に大きくした。