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どちらも俺たちのことを思ってくれていることは間違いない 紫side ページ3

「さて、Aさん。お久しぶりです」
「またお会いする予定はなかったですが、
 お久しぶりです」

彼女が事務所の偉いさんと知り合いだとは思っておらず、
少し戸惑いながらも会話を見守る。

「あれから数年経ちますか」
「そうですね」
「あなたもなかなかしぶとくていらっしゃる」
「お褒めいただき、ありがとうございます」
「何もまた、こんな形で関わってこられなくても
 良かったのでは?」
「その口ぶりだと、
 まるで私があのお二人をけしかけたみたいに
 聞こえますけど?」

「あなたにはそうするだけの理由があったはずだ」

「そんな未練がましくはないと思っていますが」
「あの頃と違って、あなた自身の価値が高くなったとでも
 思っているんですか?」

照も俺も話が見えない中で、
阿部ちゃんだけが話の流れから概ね、
掴み取ったらしい。
手のひらをぐっと握りしめている。

きっとこれは、口を挟まないほうがいい。
それだけは分かった。

「いいえ、私なんて駆け出しですので」

「声優に佐久間を起用してみたり、
 映画に深澤をキャスティングしたり、
 どういうつもりだったんですか?」

「どちらも、私の意図ではなく出版社側の企画です」
「でも貴方には断ることが出来たはずだ」
「断ることはできても、
 断る理由が "公的に" 見つかりませんでしたから」
「ずいぶん強かになったんですね」

「彼があんなにも頑張ってくれたのに、
 今回も私が頑張らないわけにはいきませんから」

そう言って微笑む。

彼女は強い。でも心の奥は脆いのに。
俺はきっと気づけていなかったことが多すぎたことに、
今更頭を抱えていた。

完敗→←俺なりの覚悟 黒side



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るん - お話読ませていただきました!すごく胸がぎゅっとするお話でほんとに深澤くんの彼女になった気分になりました。続きも楽しみにしています!! (12月6日 14時) (レス) @page39 id: d54cd6638a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひな | 作成日時:2023年2月16日 11時

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