君を忘れるために【紫】2

君を探して　紫side ページ24

佐久間に断られて、
照を誘ってご飯に行くことにした。

「照、今日の夜……」
「ご飯だろ、いいよ」
被せるように返事をくれるのは
多分少し心配してくれているから。

「飲まないけど良い？」
「別に俺はそこまでお酒が好きなわけじゃないし。
　ふっかが飲みたいなら付き合うけど」
「じゃあ、いつものとこ行くか」
「おっけ。終わりの時間がバラバラだろうから、
　一度家帰るわ」

照からOKをもらい、夜の時間を埋める。

昔なら誰かしら女の子に声をかけて、
ご飯に行って。
その場の空気で………
なんてこともなくはなかったけど。
デビュー前、彼女と付き合っていた頃には
もうそういう子たちとは切れていたから、
今も積極的にご飯に行くのは事務所の人間とか
メンバーとか、見知った顔ばかりだ。

「東京には、居ると思うんだけどな」

彼女と連絡が取れなくなってからすぐ、
家も変わって、
仕事も変わって、
連絡を取り合ってたアカウントすら消されて。

本当は今の彼女が海外に居たとしても分からない。

「佐久間も目黒もちゃんと心動く相手がいて、
　良いよなぁ」
俺の思い人はどこで誰とどう過ごしてるんだろう。
なんて、ことを考えながら、

仕事をすすめる。

(考え事があっても、仕事は別って
　ほんっと変なところだけ器用になったよな)

それが良い事なのか、悪い事なのか分からないまま、
夜を待った。

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