誰にも渡す気はない、焦り★ ページ43
目黒くんみたいに
初めから「そういうふうに見てる」って
まっすぐに伝えてこられたのとは違って。
大ちゃんは友達って思っていたから、
その苦しそうな、切ない表情がつらい。
ソファに降ろされて、
彼とは向かい合ったまま、
そっと頬に私の手を当てて。
「大ちゃん……」
「ねぇ、Aはさ、俺のこと、嫌い？」
「……好きだよ」
「やだ。そういう好きじゃない好きが欲しい」
「そんなこと言われたって」
「忘れられないのは分かってる。
だけど、Aの中の”辰哉くん”は
もう、過去にして欲しい」
「そうしようとはしてる。
忘れるために小説書くのに没頭したりもして……」
「ねぇ、A、今の俺を見て。
今のAをちょうだい」
そう言って、強引に奪われるキス。
大ちゃんはちゃんと”男の人”だった。
友達なんかじゃ、なかった。
悲しいはずなのに、
どこかぎゅっと持っていかれる感じもあって。
それは同じ人なのに、別々の部分が
彼を求めているみたいだった。
「ちゃんと好き同士になってから、って思ってた。
だけどいつまでたっても
俺のことは……友達なんでしょ？
ねぇ……蓮のものに……ならないで」
ついばむように繰り返される、
それはもう、愛情表現というよりも。
必死で繋ぎとめるための、なにか。
少しずつかけられる体重で
後ろにそっと倒される。
ソファの上で、ふたり。
いつもとはちがう、ふたり。
「……俺のこと、
そういうふうに見てなかったのは知ってる。
今すぐじゃなくていい。
だけど、他の誰かのものにはならないで。
ふっかのところには戻らないで」
「……」
あまりに壊れそうで、
必死な大ちゃんを下から抱きしめて。
ごめんね。って繰り返すことくらいしかできなくて。
そのたびに、それじゃ嫌。ってキスで返される。
見上げたその顔は必死だけど、
艶っぽくて本当にきれいで。
そんなことを考えている自分は
ちゃんと大ちゃんの”友達”で
いられなかったんだなと頭の片隅で思った。
＊−＊−＊−＊−＊−＊−＊−＊−＊−＊−＊−＊
もしも違う未来があったなら………
君を忘れさせたくて 【桃】
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ひな(プロフ) - きらさん» きらさん、教えて下さりありがとうございます！スマホで更新した際に触れてしまったようです。解除しました！ (2023年2月3日 11時) (
レス) id: d3c82ded38 (このIDを非表示/違反報告)
きら(プロフ) - オリ.フラ立ってますよ！違反報告されてしまう前に解除お願いします (2023年2月3日 10時) (レス) id: 0df082814a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひな | 作成日時：2023年2月1日 17時
