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本当はちょっとどころじゃなかった気持ちを揺らして ページ37

エントランスから上がってきた目黒さんは
後ろ手に隠していた紙袋を差し出すと
「お礼です」と言って、
はにかんだように笑った。

紙袋の中身を覗くと
中身は綺麗なフラワーアレンジメントだった。

綺麗だなぁって嬉しくて、
近くの棚に置いて顔を上げると、
身体が引き寄せられる。


「会いたかったです」


抱きしめられた瞬間、
何が起こったか分からなくて。

「目黒、さん?」
「佐久間くんから仲がいいって聞いてたけど、
 こんなにも面白くて優しくて、
 感性が素敵だと思ってなかったから、
 俺も好きになっちゃって」

「ありがとうございます?」

「ふはっ………分かってます?
 俺は恋愛的な意味でAさんのこと、
 好きだって言ってるってこと」

「なんとなくそんな気配は出されてたから………でも、
 正直、一回会っただけだから、
 そんなふうには思えないかも」
抱きしめられた腕から顔を上げると、
ぷくっと頬を膨らませて。
子供っぽさなんて全く感じない彼が
そんな表情をすることにびっくりした。

「俺のこと、知ってもらう前に
 他の人にとられたくないから。
 予約してもいいですか?」

「いや、突然すぎてなんて言ったらいいのか。
 それに私は予約なんてしなくても大丈夫だと思うけど」

「それでも、俺が予約済って
 どっかに書いておきたい」
「ふふふ、面白いんだね、目黒くん。
 なんか思ってたのと違う」
「あ、”さん”から”くん”に変わった」
「ごめん……敬語もやめよっか」

「ん……、ちょっと前に会っただけなのに、
 なんかこう想像してたのよりも……
 サイズ感とかバグってるかも」

「何それ、小さいってこと?」

「いや、柔らかいってこと」

「なっ……とりあえず中に入る…?」
「ありがとう」
玄関で抱き合ったまま笑いあうのも、
なんかおかしくて。
「とりあえずご飯、食べる?」って聞くと、
何があるんですか?って
嬉しそうに言ってくれるから、
彼とはもっと仲良くなっていける気がした。

「スリッパ出したいから、離して?」

「なんか余裕……俺のことも意識してないから?」

「ちょっと……どきどきはした」
「ちょっとかー」
そう言うとスリッパを出している私を、
ひょいっと持ち上げて。
「ご案内頂けますか?」
と耳元に首をうずめて言われるから、
もう、どうしていいか分からなかった。

誰が相手でも遠慮はしないと決めた 黒side→←気持ちに蓋をして



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ひな(プロフ) - きらさん» きらさん、教えて下さりありがとうございます!スマホで更新した際に触れてしまったようです。解除しました! (2023年2月3日 11時) (レス) id: d3c82ded38 (このIDを非表示/違反報告)
きら(プロフ) - オリ.フラ立ってますよ!違反報告されてしまう前に解除お願いします (2023年2月3日 10時) (レス) id: 0df082814a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひな | 作成日時:2023年2月1日 17時

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