胡蝶の夢 (ページ6)

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５話ページ6

その後も反復横跳び、上体起こしなどを行った。結界は個人的にまあまあな結果だったと思う。
次はソフトボール投げになった。

「次、胡蝶」

「はい」

先生からボールを渡され、軽くキャッチする。事前に出していた蝶にボールを渡す。

「《遠くまで飛ばせ》」

その言葉を合図に蝶は羽をバサバサと動かし始めた。
グンッと思い切り加速し、遥か彼方へと飛んでいった。

ピピという音が聞こえたのでそちらを見ると、そこには853の文字が表示されていた。

(よかった……うまくいった……)

ソフトボール投げもまあいい記録が出せたと思う。

次は緑谷という少年の番らしい。
何か悩んでいるようだが、決心したようにボールを投げた。
だが、決心した表情とは裏腹に結果は“46”と普通の結果だった。

「な…今確かに使おうって…」

(“個性”が消えた……?)

「“個性”を消した
つくづくあの入試は合理性に欠くよ。お前のような奴も入学できてしまう」

声のする方へ顔を向けると先生の髪は逆立っていた。

「消した…！！あのゴーグル…そうか……！
【抹消ヒーローイレイザーヘッド！！】」

(イレイザーヘッド……？初めて聞く名前……)

緑谷の発言によ、周りのクラスメイト達も誰だ？とざわつき始める。
相澤先生はそんな周りを気にせず話を続けた。

「見たとこ……“個性”を制御できないんだろう？また行動不能になって誰かに救けてもらうつもりだったか？」

「そうなつもりじゃ…！」

緑谷の言葉を遮るように首からかけてある布状の物で彼を引き寄せる。

「どういうつもりでも周りはそうせざるを
得なくなるって話だ
昔暑苦しいヒーローが大災害から一人で千人以上助けるという伝説を創った。同じ蛮勇でも…お前は一人を助けて木偶の坊になるだけだ。緑谷出久おまえの“力”じゃヒーローになれないよ」

そう言い残すと髪は通常状態に戻っていた。

「“個性”は戻した…ボール投げは2回だ。とっとと済ませな」