１話 ページ2
カーテンの隙間から朝日が仄かに差し込み、部屋を照らしていた。
小鳥たちが窓の外を飛び交い、朝の到来を告げる。
「………」
今日からあの雄英高校に登校する日だ。
朝早くに起きて身支度を整えていると、隣の部屋で眠っていた同居人が目を覚ましたらしい。扉越しに物音が聞こえてきた。
「ふわ〜……A、おはよぉ……」
「姉さん、おはよう。寝癖付いてるよ」
「マジ？直してくるわ……」
姉が洗面台へと歩いて行く姿を横目に見ながら朝食の準備をする。トースターでパンを焼き、目玉焼きを作り終えた頃、ようやく姉がリビングに現れた。
「よし、どう？」
「うん、寝癖直ってるよ」
長い黒髪を結びもせずにそのまま垂らし、スーツ姿の姉は眠たそうに大きなあくびをしている。
「わぁ……美味しそう……！」
「そうかな？でも、ありがとう」
姉の目がキラキラと輝いた。
私はテーブルに出来上がった料理を置き、椅子を引いて座った。すると姉も同じようにして向かい側の席に着く。
2人で手を合わせ、いただきますをする。
「さくらが今日から雄英かぁ……！頑張れよ〜」
「……うん、勿論」
目玉焼きを食べながら、姉は感慨深げな表情を浮かべる。
そんな姉を見て思わず笑みが溢れてしまう。
私にとってこの人は大切な家族であり、ヒーローなのだ。
私達が幼い頃、交通事故によって母親を亡くした。その日からずっと私を支えてくれた姉には感謝しても仕切れない。
(大変なこともあったけど、姉さんが応援してくれた夢だ……頑張らないと……)
「じゃ、姉さんもう行くね！早くしないと上司に怒られるし！」
「うん、気をつけてね。あ、途中で転けたりしないでね」
「そこまでドジじゃないです〜！行ってきます！」
「行ってらっしゃい」
鞄を手に持ち玄関へと走っていく姉を見ていると『多分転けるんだろうなぁ……』と思ってしまう。
「私も行かないと……」
食器を手に持ちある程度片付け、鞄を手に持つ。
そして私はドアノブに手をかけ、ゆっくりと扉を開く。
「…行ってきます」
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作者名：羅々々 | 作成日時：2022年4月15日 4時
