【ky】私の彼氏は重度の足フェチ。２【実.況.者】

９４　ミス ページ48

「分かった、とりあえず今すぐじゃないとダメ？」

「なるべく早いほうがええかな」

「了解。少し準備するから待ってて」



そう言うと、ミュートにするキヨさん。

準備？することあったかな、と疑問に思いつつ、レトルトさんとちゃんと話せるか不安になっていると



「顔にですぎ。だいじょーぶ」



キヨさんに優しいキスをされる。

準備ってコレのことか。



「……ん、ありがとう」



私の彼氏は超能力者なのかもしれない。
不安も苦悩も、拭ってくれるのは全部キヨさんだけだった。



「お待たせ。んで、どうしたって？」

「ガッチさんが今日、俺たちの実写あげたのは知ってるでしょ？」

「あー、卓球のやつ？」



卓球のやつ、というのは以前思い立って海に行ったときに泊まったホテルで撮った動画のこと。
凄く盛り上がったし、見所も多かったので、ガッチマンさんは



「プロに編集頼んで再生回数狙うわ！お前らで金儲けさせてもらうからな〜」



とご機嫌そうに言いふらしていた。

やっぱり彼らもゲーム実況者。映像関係の知り合いが多いらしく、たまに編集を本業の方に任せることもあると話していたのを聞いたことがある。


それが、どうかしたのだろう。



「実はさ、編集ミスがあったらしいんだよね」



編集ミス。

それは、動画投稿者が1番恐れる事態。


顔を公表している方々はともかく、ゲーム実況者のように顔出しNGな人の実写動画の編集ミスとなると背筋が凍る話だ。



「……どんなミス？」



少し鋭くなる声。

キヨさんも、他人事ではないと焦っている様子だった。



「それが、さ」



歯切れが悪い。



「Aちゃんの声が入っちゃったらしくて、俺たちのファンが少し……荒れてて……」



キヨさんと付き合うことになった日。

彼のお仕事の邪魔になるようなことだけは避けたかった。

のに。


不甲斐なさすぎる結果に、頭がクラクラする感覚を覚えた。

続編のお知らせ→←９３　焦り

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す