６０ 安心 ページ14
ガタン、ガタンと電車に揺られる。
ちょうど帰宅ラッシュの最中でドア側にぎゅう、と押しつぶされそうになった。
あの後、結局あんな雰囲気でお出かけは続行できず。
というかキヨさんが帰ろうと言い出したので仕方なく帰路についた。
藤原さんはというと
【少し頭冷やしてから帰る】
と言い、そのまま背を向けて歩いていってしまった。
なんだか全てがうまくいかず、頭の中が灰色のモヤで埋め尽くされる。
明日は藤原さんと大学の講義が被っている。
幸か不幸か、今日の非礼を謝るチャンス。
そんなことを悶々と考えているとぐらっと重心が傾く。
一斉に人がなだれ込んできたタイミングで、キヨさんが盾になってくれた。
少女漫画でよくある壁ドンってやつ。
この歳になって経験するとは思っておらず、いつもより近い距離感に心拍数が速くなるのを感じた。
「A、だいじょうぶ？」
少し苦しそうにそう声をかけてくれるキヨさん。
「私は全然、キヨさんのほうが、」
容赦なく倒れ込んでくる乗客たち。
このままだったらキヨさんが潰れちゃう。
オロオロしていると、私たちが降りる駅になった。
プシュー
なんとか降りれた。
夏の満員電車は危険だ。
顔が真っ赤になってしまったキヨさんをパタパタと手で煽ぐ。
「真っ赤だ。早く帰ろう」
キヨさんの左手をぎゅっと握り、そのまま歩き出そうとすると
「A、今日はみっともない姿見せてごめん」
そのまま立ちすくんだキヨさんに止められた。
「フジがAに気あるの知ってた。けどその気持ちを押しつぶそうとして若干ムキになってた」
寂しそうにそう告げるキヨさん。
「そっか、」
友情か、恋愛か。
大切な藤原さんも傷つけたくないし、私も守ろうとしてくれていたんだろう。
「大丈夫だよ、私はずっとキヨさん一筋だもん」
今日くらい、いいや。
人目を気にせず、えいっとキヨさんに抱きついた。
「大丈夫だから、帰ろう？」
子供に言い聞かせるように、そう言った。
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るな(プロフ) - まりあさん» コメントありがとうございます！まりあさんの言葉一つ一つが今の私にとって凄く有難いですしめちゃくちゃ響きました…数年ぶりの占ツクで私の作品に出会っていただいた事にことがまず嬉しいですし、出会えた奇跡に感謝です（笑）お気遣いありがとうございます！ (2021年9月7日 12時) (
レス) id: d296647e3c (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - 初めてのコメント失礼します！何年ぶりかに占ツクを入れ、キヨさんのお話を読んでキュンキュンしていたのですが、今まで読んできた中で1番ときめきました！！お世辞でもなく事実です！無理はしないようにして下さいね！更新待ってます！一個下の高1が失礼しました！ (2021年9月6日 21時) (レス) id: 186f0e6b71 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - たまごアイスさん» わーこちらにコメントまでありがとうございます（ ; ; ）たまごアイスさんのセンスと話の進め方には全然劣りますがそう言っていただけて光栄です…！お互いよい刺激を与えられるよう頑張りましょう！更新楽しみにしています！！ (2021年8月30日 8時) (レス) id: d296647e3c (このIDを非表示/違反報告)
たまごアイス(プロフ) - コメント失礼します。1の方をチラッと見たことがあり、機会があったのでもう一度拝見しました！短編の方でも思っていたのですが、やっぱりストーリーのたて方と言葉選びがうまいなぁ、と思いました！私と違い、しっかり考えられたリアルさも！私も頑張らないと！！ (2021年8月29日 21時) (レス) id: 84c9dfda6b (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 藍良。さん» コメントありがとうございます！わーー（ ; ; ）リアルさをより追求しているので嬉しいです…！更新頑張ります、ありがとうございます！誤字も可愛いです笑 (2021年8月21日 2時) (レス) id: d296647e3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るな | 作成日時：2021年8月19日 0時
