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始業式が終わり、あとは帰りのホームルームを残すのみ
体育館から教室に帰る途中、香織が私の肩をトントンと叩いた
「見て。先輩だよ、先輩」
ヒソヒソと声を潜める香織
視線の先にはこの学校の生徒なら知らない者はいないと言っていいほどの有名人がいた
「超カッコいいね。小笠原先輩」
顔を赤くして喜ぶ彼女につられて、私も見入ってしまった
本当にカッコいい
「あぁ、卒業する前に一度でも話せたらな〜」
「そんなスペシャルイベント、人生の中で起きるわけないよ。」
「ぐうう、Aの現実主義〜！」
そんな事言われても、学校のカーストの頂点にいる先輩と話そうなんてしたら消されるよ
平凡にいこうよ、香織…
「って言うか、Aの隣の席のイケメン、超ヤバくない？」
「ヤバいって？」
「超クール！！」
クール…
グシャグシャな泣き顔を見てからだとクールなんて印象はゼロ
まぁでも、顔は凄くカッコよかったし…
だけど、あんなイケメンなのに小笠原先輩みたいに騒がれなかったんだな…
全然知らなかったし
「福田佑亮…だっけ？香織知ってた？」
「え？まぁ、知ってるよ。イケメンって有名だったし」
「嘘、全然知らなかった。」
私が知らなさすぎただけなのか…
「…あ、でも、福田が集まってくる女子に怒って小笠原先輩みたいにはならなかったけどね」
「そうなんだ…」
「Aは別クラだったし知らなかっただろうけど、割と福田って怖いんだよ」
怖い？
やっぱりあの泣き顔がチラついて福田佑亮が分からない
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作者名：くろせ。 | 作成日時：2018年3月9日 22時
