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次の日仕事が終わると、ジミンが車で迎えに来ていた。
私の恋人に心配させたら悪いから、と近くのコンビニでコーヒーを買い、車の中で話をした。
「昨日久しぶりに会って、考えたんだけど。結婚したいって思った。」
素直に嬉しいと思った。
あの辛かった頃の私の心が報われた。
でも私は言葉が出なかった。
「別れた頃にくれたメール覚えてる？またいつか君と恋ができたら幸せです、って。それって今なんじゃないの？」
車の中に沈黙が流れる。確かに私もそう思う。
いろんなことがあった。
今ならうまくいくんじゃないか。
「ありがとう、嬉しい。でも今の彼氏と結婚すると思う。それにジミンは変わったよ。もうあの頃みたいに戻れない。」
「そっか」
また沈黙が流れた。
しばらくしてジミンは笑って言った。
「きっと素敵な人なんだね。聞いてくれてありがとう。」
ジミンは、私の頭にそっと手を乗せた。
温かかった。
家の近くまで送ってもらい、別れた。
大好きだった人は、また遠くに行った。
これでよかったんだ。
私の恋人は素敵な人だ。
でも正直、気持ちの強さ、思い出の強さはジミンの方が大きく、一生忘れられない人だろう。
だから上書き保存なんて絶対できない。しない。
ただ形を変えながら心の中にいる。
大切にとっておいて、たまに思い出すくらいで丁度いいのだ。
あの日のジミンの手の温もりは、私の頭にずっと残っている。
-fin-
終わり
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作者名：遥 | 作成日時：2022年9月24日 22時
