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大学時代は立ち直ろうとそれなりに恋をした。
サークルの先輩に憧れたり、同期といい感じになったりもした。
でも頭の中のどこかにはジミンがいて、「そんな大学生みたいなことしないでほしいけどなぁ」と悲しそうな顔をして言ってきた。
不毛な行為をした帰り道には、「純粋なAはどこいっちゃったの？」と言ってきた。
誰を好きになっても、私の心の中にはジミンがいた。
誰を好きになっても、ジミンが全ての基準になっていた。
心の中のジミンとうまく付き合いながら日々を過ごし、楽しかった大学生活も終わり、就職をした。
やがて職場で出会った人と結婚を前提に付き合い始めた。
もうその頃には頻繁にの心の中のジミンが出てくることもなく、いい思い出になっていた。
恋人はとても優しく穏やかで、何よりも私のことを大事にしてくれる人である。
たくさんの愛を注いでくれて、愛される喜びを知った。
全てを受け止めてくれて、いろんなことがあったけど、ようやくここに落ち着くんだなとしみじみしていた。
そんなある日、高校時代の友人の結婚式が開かれた。
すっかり有名人になったジミンと、別れて以来の再会をした。
ジミンは相変わらず可愛げがあって、ぷっくりしていた顔も引き締まって大人っぽくなっていた。
お互い探り探りであったが、二次会に行く頃にはすっかり高校時代の私たちになっていた。
お互いの大学時代の話、共通の友人の話、仕事はどんなことをしているかなど、話は尽きなかった。
私はたしかにこの人のことが大好きだったな、と心の中がじんわりとした。
ジミンが話すと周りが少しザワついて、もう遠くの人なんだなと距離も感じた。
「私たち大人になったね」と言うと、「いや、あの頃が子どもだったんだよ」と返された。
子どもながらに真剣だったよ、心の底から大好きだったよ。
「僕もあれからそれなりに好きな人ができたんだ。でも、高校時代を超える気持ちにはなれなかった。」
私もずっと、同じことを思っていた。
「明日の夜、少し会って話さない？仕事終わり車で迎え行くから。」
「わかった。同棲してるから、夜遅くはなれないけど大丈夫だよ」
そう答え、二次会も終わり、恋人と住む家に帰った。
家で待ってた恋人を見るとなんだかほっとして涙が零れそうになった。
恋人のことが大好きだという気持ちを再確認し、眠りについた。
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作者名：遥 | 作成日時：2022年9月24日 22時
