SILK【JN】 ページ17
真夏の22時、ソウルはビルの木漏れ日に照らされてまだ明るい。
ジミナと一緒に退勤してカフェに寄ると、
甘いシルクの匂いがした。
ふと、どうにも忘れられない元カノを思い出した。
身長は165cm程で僕と同い年。
目は一重で唇も薄く、前髪をかきあげてたショートヘアだった。
たまに見せる笑顔が甘くて、
あの頃はその笑顔の虜だったななんて懐かしく思う。
どちらかというとクール系の彼女は、
キツめのルックスとは合わないシルクのハンドクリームを好んで使っていた。
その匂いがしたんだ。
後ろを振り返っても見覚えのある後ろ姿はなくて、
代わりに暗めのブラウンのロングヘアを緩く巻いた高身長の女性がいた。
JM「ヒョン？どうかしましたか？？」
JN「…いや、なんでもない」
結露が酷いアイスコーヒーを持って外へ出ると、
さっきの女性が前を歩いていた。
話しかけてくるジミナを無視して早足で追いついて手を掴んだ。
振り返った女性は、
忘れられなかった元カノのAだった。
「ソクジナ……？」
少し低い声で僕の名前を呼ぶ。
僕の名前はみんな略して「ジン」って呼ぶのに、
Aだけは「ソクジン」って呼んでくれた。
JN「久しぶりだね」
「こんなところで何してるの？」
首を傾げると揺れるロングヘアが違和感。
僕と付き合っていた時は長くてもボブヘアだった。
JN「仕事終わって今から帰るところだよ。それにしても随分雰囲気変わったね」
「そうだね、なんか切るに切れなくてさ」
変わったのは髪型だけじゃない。
メイクも服装も全部女の子っぽくなっていた。
濃いめだったメイクは薄くなって、
ズボンを好んでスカートは履かなかった彼女が
ミニスカートを履いている。
「ひとり？」
JN「ううん、そこにジミナが…」
後ろを振り向くとジミナはいなくて、
【先帰ってますね〜】
なんてメッセージと可愛らしいスタンプが送られていた。
「…ちょっと話さない？お互い溜まってるだろうしさ」
Aの話を飲み個室のある行きつけの居酒屋に入った。
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作者名：遥 | 作成日時：2022年9月24日 22時
