初恋あじ の とくべつ風味 ページ7
監督のアドバイスのおかげか、買い物は案外スムーズに進んだ。
このフレーバーは美味しかった、だとか
抹茶は好き嫌いが別れる、なんてことまで。
ラッピングはこれにしよう、と言って決まったAへのプレゼントは まるで恋人へのプレゼントのように煌びやかだった。
｢ところでそれ、誰に渡すの？｣
もしかして彼女？と楽しそうに尋ねる監督。
その含みを持たせた表情を見ただけで、Aの顔が思い浮かぶオレはきっと末期症状だ。
｢…彼女じゃ、ない｣
｢ふふ、でも天馬くんはその子のことが好きなんだね｣
｢なｯ、んで…！！｣
どうやら監督には何もかもが筒抜けらしい。
やっぱりね、と少し誇らしげに笑う監督から、紅く染まった頬を隠すように顔を背ける。
すると頭を小さな手がふわりと撫ぜた。
｢天馬くん、知ってる？
マカロンを贈る意味はね────｣
ーーーーーーーー
｢告白、成功したら寮のみんなにも紹介してね｣
｢ばｯ…するわけないだろ！？
そもそもオレは告白するなんて一言も…！｣
｢しないの？｣
｢あ〜もう！頼むからもう黙っててくれ…！｣
軽口を叩きながら寮までの道を進む。
そんな中、ぼんやりと考え込んでいた。
告白なんて、しない。
この気持ちなんて伝えない。
その予定だったけれど、監督と話してわかった。
…もう限界みたいだ。
1度零した
こんな中途半端な関係なんていらない。
もっと近くに、もっと深く。
Aの
オレがお前を好きだと言ったら
どう思う？
どんな表情をみせる？
なんて応える？
あぁ、やっぱり
｢…好きだ｣
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作者名：MinT・パンナコッタ・さやえんどう・すずめ・ひなた＊ x他4人 | 作者ホームページ：なし
作成日時：2017年6月1日 18時
