ランシェットは君と一緒に【A3!】 (ページ13)

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いつだって、君と。ページ13

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どちみちみすみくんは皆と同じ家なんだから、一緒に帰ったらいいのに。そう思ったけど、いづみさんたちは笑って手を振ってたからしょうがなくみすみくんと帰ることにした。

…いや、私もみすみくんと帰りたかったけど。そんな本音を心の中でぽつりと。

「みすみくんー」
「どうしたの～？」
「さっきいづみさん、何言おうとしたの？」
「……やだ、いわない」
「え～言ってよ。気になる」
「やだ」
「………」

お願いしたって言ってくれなさそうなみすみくんを見上げて、ひとつだけ小さく溜め息をつく。しょうがない、奥の手を使うしかないか。

「言ってくれないとコレ、あげないよ」
「…さんかく！」
「さんかくだけどポルボロン」
「むむむ…。ひきょうな手をつかうな、おぬし」
「ふふん、どうとでも言いなさい」

みすみくんと付き合ってから、私は姑息な手を使う事が増えた。彼は自由奔放だからか言う事を聞いてくれる確率が少ない。だからか、さんかくで釣ることが自然と増えてきたわけだ。

別に私が狙ってるわけじゃない。

袋の口を握った右手をふらふらと揺らして、ニヤリと笑う。

「ほら、さんかく崩れちゃうよ？言わないの？言うの？」
「…A、ずるい。言う」
「ん」

差し出された手のひらに袋を置く。それからまた歩きだしながら、私はリスみたいに頬をぱんぱんにさせて、ポルボロンを口に詰める彼に聞いた。

「で、何ていづみさんは言おうとしたの？」
「…あのね、今日の公演のおはなし、俺がつづるに頼んで書いてもらったやつなんだ」
「…みすみくんが？」
「うん」

彼は言った。

あの日、私が好きだと言ったあとにすぐ応えられなかったのが悩みだったと。そして、そのせいで私が泣いてしまったのがずっと心残りだったと。

だから、綴くんに頼んで最後はみすみくんが望んだものの話を作ってもらって、私に少しでも罪滅ぼしがしたかった、と。

「…いや、私が泣いたのは自分が嫌な奴だって思ったからだし…。その時が悪くても、みすみくんと付き合えたって事には変わりないから、さ…」
「でも、それじゃ俺が嫌だった」
「…ん～、あ～…。まぁ、なんていうか」

頬を掻き、星が輝く空を見上げる。あはは、と苦笑いを零して言った。

「…私、みすみくんに幸せ分けてもらえてるから、そういうの気にしないでほしいな」

ほら、ポルボロン食べよう。今度こそ言い切ってみるから。

そう彼に笑って言ってみせた。