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「ふ〜〜。疲れた…。」
外はすっかり暗くなっていた。なんだか雨がふりはじめそうな嫌な空気。
部活がない日の午後7時。
毎週1日は必ずオフになるのが学校の規則だからね。
走り込んだり、休養したり、部員それぞれで過ごし方は違ってくるけど
マネージャーであって受験生でもある私はやっぱり勉強をしなくてはならない。
そんなに得意な方じゃないんだけどね…
特に暗記科目はめっきりだめだめ。文系には必須だと言うのに。
今日返された小テストも65点と微妙な点数。
はぁ〜〜。
図書室に私の小さなため息がもれた。
マネとして春高まで残るって決めた以上、ちゃんと勉強と両立して部活も学校生活も後悔なく終わりたい。
だけど……
3年の他の3人を見てると、追いつけないような…置いていかれちゃうような気がしてならない。
黒尾もやっくんもスポーツ推薦狙うって言ってて、
海は指定校でいけそうだって…
選手とマネで比べたってしょうがない事だけど、
私は自信をもって3人の…部員の隣に立っていたいと思う。
なのに、不安が渦を巻いて自尊心を削っていってしまう。
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「あ〜、夕飯作るのめんどくさいかも。抜いちゃおうかな…」
一人暮らしの私にとって今1番めんどくさいのは家事。
バイトも部活もある日は結局勉強する時間なんていつも1〜2時間になってしまう。
そう言えば洗濯昨日し忘れちゃったな…
今日、いや明日の朝…「おーい、A。」
「へっ?」
そこには私の頭上に傘をさして笑う黒尾が居た。
「雨降りだしてるよ?髪ちょっと濡れてっけど…何ぼーっとしてるんデスカ〜。」
「えっ、あ…ほんとだ。あ、傘ありがとう。雨気づかなかった!!あははっ。」
そう笑って見せたけど、黒尾は顔をしかめた。
「ん〜〜…いや…あ、駅まで一緒に行くよな!」
「へ…あ、いやっ大丈「はい。」
ぽん、と黒尾のジャージが入ったかばんを渡された。
「駅まで送り届けるのでそれ運んでくださーい。」
「…ははっ、すっごい軽いけど。…じゃあありがたく入りまーす。」
「…まー、たまには2人でもいいじゃないですか。」
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2人の間の3cmが、もどかしくて切ない
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作者名:すうぎ | 作成日時:2020年3月27日 3時