【2】 ページ3
・
・
ピピーーーーーッ
勢いよく鳴らした笛は、朝だからか思いのほか短かった。
「10分たちました!」
「うっし!集合!!」
黒尾のその言葉で部員が集まりだす中で、私はビブスとボトルの回収に走り出した。
さて、ボトルを洗って朝の仕事は終わりかな。
「今日の昼休み、社会科室借りてミーティングしまーす。弁当持参おっけーです。じゃあ、忘れないようにな。朝練終了!あざーっした!!」
そう言った黒尾の声に続いて部員も声を揃え、朝練は終わった。
週2日の朝練習、この時間が私は好きだ。
お弁当を作る時間とか、朝のニュースの芸能コーナーとか、朝練の時間に押されるものがあったとしても、朝日の中でボールを追いかけるみんなを見るのが好きだ。
みんなや、黒尾を、こうやってずっと支えられて行けたらいいなって思う。
3年の5月、残された時間を意識してしまうのはしょうがないよね。
「A!今日の英語のプリントやってきた??!見せてくんね?!!お願い!!」
「あれ、やっくんめずらしいじゃん。いつも山本とかリエーフに課題ちゃんとやれって言ってあげてるのに〜〜〜?」
おっといけない、いつもちゃんとしてる人のこういう姿を見るとニヤニヤが
「うぐぅっ…昨日はどうしても睡魔に勝てなくてさ…」
「ふふっ、いいよ見せてあげるね。お疲れ様!」
IHや春高を見据えた練習をこなしながらの受験生は、正直キツいと思う。
マネージャーの私でもなかなか大変なのに、選手である黒尾とやっくんと海の頑張りはどれだけのものなんだろう。
「サンキュ〜〜!!!あとでAの席取り行くから!」
「はぁーい。」
「あれれーやっくんAの手借りるんデスカ??」
きたきたトサカヘッド
「うっせ!!お前もしょっちゅう見せてもらってるくせに!」
「も〜〜黒尾も夜久もすぐそうやって〜〜…もう見せてあげないよ?!」
「「すいませんっした。」」
「あはは。あ、私今日日直だから日誌取りに行くね。先教室行ってて〜」
「「あーい」」
職員室のカレンダーを見て思う。
IH予選までもう少し。
わくわくと、少しの寂しさ
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:すうぎ | 作成日時:2020年3月27日 3時