百六十五話 この物語は ページ6
涼真のお墓は新築間も無く、綺麗だった。
花屋さんにより、菊の花を買い、コンビニでお線香とライターを買った。
『阿部涼真』と彫られた墓石は真っ直ぐに地面に埋まっている。
その石の下には涼真がいるんだ___。
この土の中に、貴方は埋まっている。
貴方は眠っている。
A「…………うっ…ぐうう…………」
私はその場に四つん這いになって、自分自身から全ての感情を追い出すように泣いた。
絶叫とも言えるその声は、絶望だけが惨めに込められている。
そんな私の姿は、二人の目にはどう映っていただろうか。
涼真はもういない。
涼真はもういない。
涼真はもういない。
涼真は……………もう……………………
だって…
私があの時、見たのではないか_____。
月夜「_____Aちゃん。」
後ろから月夜さんの声がして私の泣き声は止んだ。
月夜「人生というのは、いつ何が起きるのか分からないんだ。"この物語"の主役は君なんだよ。Aちゃん。」
その言葉の意味が、私には分からない。
月夜「俺じゃあ、君を満たしてはあげられないかな?」
不意に髪を弄られた。
月夜「Aちゃん。」
まだ涙で歪む私の視界に映る、涼真の眠る墓。
そうだ。私は誓ったんだ。
貴方の為に強くなるって。
今度こそ前へ進むんだって。
だけど、私は………………………。
來夜「A。」
耳元に吐息と來夜の優しい声が溶けた。
來夜「手、合わせよう。」
A「……………うん。」
私達は、涼真へ手を合わせた。
目を瞑るのが怖かった。
目を瞑ったら貴方が見えてしまう気がして。
_____ったく、何泣いてんだよ。
ほんと、お前は泣き虫だなあ。
泣くなよ。俺はいつでも、お前を見守ってるから。
……………きっと涼真は、天国でそう言ってるだろうね。
涼真、私は引かないよ。
強くなるって決めたから。
貴方に約束するから。
私は、この物語を書き続けていくよ。
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日名無 りん(プロフ) - NZMさん» ありがとうございます!!!!綺麗なんて……!!!光栄です!!! (2019年12月3日 23時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
NZM(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても綺麗な作品だなと思いました! (2019年12月2日 23時) (レス) id: 13f970b2f4 (このIDを非表示/違反報告)
日名無 りん(プロフ) - まりもさん» それは本当に良かったです!皆様のお陰様で無事完結を迎えられました! (2019年7月27日 21時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - ヤンデレ系は苦手なのですが、これは続きが気になるほど面白かったです。完結、おめでとうございます! (2019年7月27日 14時) (レス) id: 6b2aac275b (このIDを非表示/違反報告)
lkwisterven - 日名無 りんさん» マジか衝動でここまで描けるのすごい (2019年7月25日 15時) (レス) id: c9c05fe7f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日名無 りん | 作成日時:2019年6月21日 18時