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百八十話 やっと捕まえた ページ21

A「…ふっ………ううう………。」

私は大きい岩に身体を預けたまま動けずにいた。
何故なら、右足の膝を擦りむいてしまった。
血が流れ出る傷口に、雨水が入り込んで染みる。

A「寒い………………。」

長時間雨に濡れた身体は、凍えきっていた。
まるで心の奥底まで凍ってしまいそうだ。

……動けない。
寒い。
誰も来ない。


私はこのままここで死ぬのだろうか?

………嗚呼、きっとこれは天罰なのだ。
涼真を見殺しにして私は月狂を愛した。

私が醜くて最低だから、きっとバチが当たったんだ。

膝の傷だけじゃない。
心も痛い。

心なしか、雨は次第に強くなっていた。

まるで私を叱るように、嘲笑うかのように。



嗚呼……………私なんて………………

"産まれてこなければよかった"


そう口にしようとした時、

後ろからとてつもない力で何者かに抱き締められた。

來夜?
私が振り返ろうとした時


「やっと捕まえた。俺の女神様。」

聞き覚えのある声と、カサブランカの上品な香り。

すんでの所で、私は悲鳴をあげそうになった。

私の身体には、美しい悪魔の腕が絡みついていて、離れなかった。

月狂だ____。
今私を抱き締めているのは、月狂だ。
振り返らなくてもわかった。

身体中に恐怖心が湧き上がる。

A「っ…月狂…。離して……。」

情けない程身体の自由が効かない。

月狂「ふふっ。離すわけないだろ?なあ、俺から逃げて、他の害虫に愛でられて………嬉しかった?
…………悪い子には、お仕置き……だよなあ?」

不敵に嗤うと私の膝に出来た血液の流れ出る傷口を舐め上げた。
真新しいそこを舐められると、針を刺されたような激痛が走った。

A「………いっ…痛い…っ……。」

ただでさえ痛いのに………。
目に涙が浮かぶ。

月狂「あーあ、首に虫の噛み跡なんてつけて………。」

そう不機嫌そうに呟くと、
鋭く爪をたて、私の皮膚に爪を食い込ませた。

A「……い、やああ…………。」

嫌だ。
この人に散々教えこまされた身体は、その痛みを快感として捉えた。

月狂「どうして俺から逃げた?A。」

耳元に、低い声が溶ける。

月狂「答えろA。」

月狂「ほら言えよA。その口で………言えよ…言えって………。言え。」

そして彼は、私の首筋に
容赦なく歯をたてた。


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設定タグ:ヤンデレ , 狂愛 , 名前変換オリジナル   
作品ジャンル:恋愛
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日名無 りん(プロフ) - NZMさん» ありがとうございます!!!!綺麗なんて……!!!光栄です!!! (2019年12月3日 23時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
NZM(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても綺麗な作品だなと思いました! (2019年12月2日 23時) (レス) id: 13f970b2f4 (このIDを非表示/違反報告)
日名無 りん(プロフ) - まりもさん» それは本当に良かったです!皆様のお陰様で無事完結を迎えられました! (2019年7月27日 21時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - ヤンデレ系は苦手なのですが、これは続きが気になるほど面白かったです。完結、おめでとうございます! (2019年7月27日 14時) (レス) id: 6b2aac275b (このIDを非表示/違反報告)
lkwisterven - 日名無 りんさん» マジか衝動でここまで描けるのすごい (2019年7月25日 15時) (レス) id: c9c05fe7f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:日名無 りん | 作成日時:2019年6月21日 18時

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