五十四話 ドレイ ページ5
side來夜
鈍い鈍痛がする頭は、意識がぱちん、と消えそうな所で、戻る。
ぼんやりとした気がしたし、やすりで磨かれたように鋭敏になった気がした。
「人間ってさ、どこまでが限界なのかな。」
聞き覚えのあるテノール声と
「さあ?まあ、"殺し屋"としては手加減はなしだよな。」
ハスキーボイスの男の声……。
「ああ、ペンチとか?」
テノール声の男が早口で言う。
そういうと何が可笑しいのか、ハスキーボイスの男が高笑いした。
その声は、狂った声というよりはカラオケで愉快に騒いでいるのに似ていて、不思議と不気味さを感じられなかった。
來夜「…ッ……!?」
勢い良く瞼を無理やりに開けると、そこは薄暗い倉庫だった。
自身の身体は、縄でしっかりと縛り付けられている。
「あっ、起きた?オハヨー。」
と近づくハスキー男。
「お目覚めですか。」
テノール声の男に、威嚇の為鋭く睨み付けた俺の目が、無意識のうちに見開かれた。
來夜「…!お、お前……!」
その人物は、俺の知る人物だった___。
「あら、貴方は…玉城さんじゃあ、ありませんか。…何年振りでしょうかね?」
來夜「……どういうつもりだ、てめえ。」
口角を不気味なまでに釣り上げる相手の顔は、この世の恐れや呪いを混ぜ合わせたようでもあった。
「ああ、そうですね…。私は愛しているんですよ……。我が神聖なる神、済木月狂様を。」
來夜「ああ?」
「ふふっ、貴方には解らないでしょうけれど、私はあのお方に出会い、全てが変わったんですよ。」
「きっと済木様との邂逅は、天が私に授けた幸運であり奇跡だったんですよ!」
酷く紅潮しながら荒い吐息を漏らす其奴に、俺は猛烈な気味悪さを感じた。
此奴、イカレてやがる。
291人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヤンデレ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
日名無 りん(プロフ) - シェリーメイさん» シェリーメイさん、いつもありがとうございます^^*緋き妖にも目を通してくれていてとてもとても嬉しい限りです!私も冬は苦手なんですよね笑お守りだなんて…!!私も読者の皆様をお守りに冬も受験も乗り越えます!! (2019年11月24日 20時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
シェリーメイ - この小説が無かったら私の冬は地獄… (2019年11月23日 19時) (レス) id: e2657486e4 (このIDを非表示/違反報告)
シェリーメイ - 日名無 りんさん» こんばんは!骨の随までシリーズも黒蝶の夜にシリーズも、緋き妖もすごくすごく最高最高!(〃ω〃)最近インフルエンザが流行ってます。私達読者も、日名無りんさんも、体調に気をつけましょ!私は勝手ながらこの小説をお守りにして、苦手な冬を乗り越えます(^^)/ (2019年11月23日 19時) (レス) id: e2657486e4 (このIDを非表示/違反報告)
日名無 りん(プロフ) - ハルシナさん» こんにちは!初めから見てくれているのですね。嬉しい限りです!いえいえ、天才なんて滅相もないです!笑 うわああ、ありがとうございます!私も読者の皆様が大切なので、体調管理には十分に気をつけてくださいね (2019年11月11日 23時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
ハルシナ - この作品、初めから見てます!作者さん天才だな?いつもドキドキしながら見てますよ!体に気をつけて更新してくださいね?作者さんは、私たちのことを考えて更新してるかもしれないけど、私たち読者は作者さんの体のことを一番に思ってますよ!これからも頑張って! (2019年11月11日 18時) (レス) id: 91b89ed012 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:日名無 りん | 作成日時:2019年9月3日 0時