毒蝶に魅せられて【完】 (ページ5)

今日:1 hit、昨日:15 hit、合計:26,771 hit

5 Butterfly ページ5

声のした方向に目をやれば、そこには義弟の涼翔君が、立っていた。

狂夜「あ、涼翔君おはよう。ご飯もう出来てるよ。」

俺が声を掛ければ、Aへの態度とは打って変わって苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。

涼翔「……御丁寧にそんな気持ち悪い事してきて、一体何が目的なのさ？」

相手はニコリともせず、俺を睨み付けた。
制服姿なのは部活だからなのだろう。

狂夜「やだなあ…家族なんだから、仲良くしようよ？ね？」

相手は俺を強く憎悪している事は理解している。
だけど家庭内で荒波が立ってしまっては、Aが困るでしょう？涼翔君。

涼翔「僕はお前の存在が酷く恐ろしくて仕方が無いよ。」

狂夜「………。」

涼翔「今でも寒気が走るんだ……。"あの日"の事を思い出すと。」

その時、微かな仮説が確信を突いた。
この義弟には警戒しなければならない。

狂夜「それはどういう意味かなぁ。」

涼翔「……………ッ…僕は、見たんだ…っ。」

俺の口許には弧が描かれていた。
Aがいる前で、そういうのは控えて欲しい。
相手の肩に手を置き、耳元で刷り込ませる様に囁く。

狂夜「＿＿＿いつかは話し合わなくちゃね。…………………二人きりで。」

仕方が無い事だ。

バレちゃったらね…。