天罰【骨の髄まで染め上げて】

三話 君が欲しい ページ3

A。
彼女はアルビノという疾患を抱えていた。

其の事に苦しみ、己の容姿に嫌悪感を抱いた。

塵みたいな他人の眼を気にして。

その奇麗な黒髪も、元はとっても白かったんだね。
穢れを知らない純白だったんだね。

でも君は、他人と違う事からその美しさを怨み、呪い、隠すようになったんだね。

自分が嫌で嫌で、仕方なかったんだね。

純白で、無垢で、穢れひとつない幼き頃の彼女の写真を舌先で撫でる。

月狂「それにしても……本当に美しいなあ。エルフみたいだよ。」

まるで無垢な天使が人間の子として地上に舞い降りて来たみたい。

月狂「幼稚園の頃の同級生を殺してまで手に入れた甲斐があったよ。」

漆黒色をしたゴミ袋を、足で蹴散らす。

ドスッ

ドスッ

ゴリッ

部屋のタイル張りの床には、紅の水溜まりが出来ていて、ぴちゃぴちゃと音をたてる。

月狂「あはははははっあははははははは。」

乾いた笑い声は、自分でも不気味な程に響く。

月明かりに照らされて、姿を現す壁一面、床一面の写真達。

俺はその中でも、つい最近撮った一枚を手にした。

月狂「嗚呼、欲しいなあ。君が。」

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