天罰【骨の髄まで染め上げて】

一話 心酔 ページ1

高校三年生になった俺は、机の上に広げたノートに書かれているのは、数式ではなくおびただしいまでの彼女の名前。

何ページも何十ページもまるで何かの呪文のように、それは書かれていた。

【AAAAAAAAAAAAA…………】

びっしりと隙間なく綴られた甘美な名前。

壁一面に貼られているのは、女神の如く美しい其の彼女。
その数は既に四桁を超えていた。

彼女に出逢って一ヶ月が経った。
彼女にバレる事の無いように一日に何回も何回も、彼女をカメラに収めた。
一年生が体育のハードルをしているのを陳腐で退屈な授業中に窓から眺めた。

灰色のグラウンドの中にひとつだけ、美しい輝きを放つものがひとつ、俺の目を捕らえた。

あの、美しい美しいあの子が、長い髪を後ろで結び、グラウンドで女子生徒と楽しげに話していた。

…嗚呼、愛しいな。
とてもとても愛しいな。

それからは彼女を毎日監視した。
体育で授業をしているA。
食堂で学食を食べているA。
友達と仲良さそうにしているA。
帰り道一人で歩いているA。



俺は日を追う事に彼女に心酔していった。

二話 張り込み→

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