十一輪 ページ12
「うっ…うっ……ヒッグ…。」
冷たい空気と共に溶けるのは、私の嗚咽。
誰も居ない公園に独り、私は
「どうして泣いているの?」
聞き覚えのある、甘い声と、綺麗な綺麗な顏。
「ああ、泣かないで?また君に逢えたと思ったのに…どうして泣いてるの?………って、聞かなくても解るんだけどね。」
頬を伝う私の涙を、白くて綺麗な指先で拭う其の美しい男は、悪戯げに嗤うと、幸せそうな笑みをぶら下げる。
「だって僕は、君をずーーーっと前から愛してるんだもの。」
「……………。」
何故だろうか。
今は目の前の男に対する恐怖心さえ湧いてこない。
「辛かったね?苦しかったね?どうしたら君の涙は止まるのかな。どうすれば君の哀しみは無くなるのかな。」
「ねえ、僕と一緒に来ない?」
「そうすれば、僕が君の涙をずっとずっと拭ってあげるよ。」
目を細め、手を差し伸べてくる其の人物。
壊れた人間の脳と云うものは、どうやら正常に動いてはくれないようだ。
もう、いいや。
もう、どうでもいい。
あんな家に帰りたくない。
無心の中、私は微笑む彼の手をとった。
綺麗な顏の口許が、ゆるりと上がる。
「漸く君を手に入れた。」
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日名無 りん(プロフ) - 楓さん» こんにちは、それは嬉しい限りです!!!いえいえ、私なんてまだまだですよ笑 楓さんも執筆をなさって居るのですね!(読んでみたいな ←図々しいですねw)更新は中々大変ですよね…。解ります 私だって中々進まない時ありますから笑 でも、めげずに頑張ってください! (2019年12月9日 22時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
日名無 りん(プロフ) - 星波 きららさん» ありがとうございます!!頑張ります! (2019年12月9日 22時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
楓 - りんさんの作品をいくつか閲覧させていただきましたが、どれも全て想像力の膨らむ作品ばかりでファンになりました!私も作品を書いているのですが、表現法が思いつかず中々更新できずにいるので、りんさんをとても尊敬しています。これからも応援しています! (2019年12月9日 0時) (レス) id: d9434ec49b (このIDを非表示/違反報告)
星波 きらら(プロフ) - すっごい面白いです!頑張ってください! (2019年12月8日 23時) (レス) id: f1118fd80f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日名無 りん | 作成日時:2019年8月8日 7時