検索窓
今日:18 hit、昨日:10 hit、合計:4,286 hit

4 ページ4

ぐらり、と目眩がして、私の身体はよろけた。

足元を見たけれど、大火傷を負った人は当然いなかった。



「_____大丈夫?」

トン、と誰かが肩に手を置いた。
振り返ると、背の高い青年が私の身体を支えていた。

真希「_____あ………ありがとう…ございます………。」

ふわりと漂う柑橘系の香り。

色白の、男性にしては可憐な顔立ちに、優しくて柔らかい笑みを浮かべている。

「大丈夫?」

真希「………………はい。」

「そっかあ。よかった。」

ほっと溜息をつくように胸に手を当てて微笑する青年。
どうしてか、その笑みに、私は酷く心を奪われた。

その人が凄くかっこいいからとか、そんなんじゃない。


見惚れている訳では無い。


私は、私の心の中で言葉では言い表せないもやもやとした感情がある事さえ、気付かなかった。



「……………?あの?」

青年が笑みを絶やさぬまま私の顔を覗きこんだ。

真希「あ………………。」

「ほんとに大丈夫なの?」


ずっと顔を見られて不快だったのか、青年が顔を歪めた。

真希「あ、ほんとに!ほんとに大丈夫です!」


相手の顔も見ずに、私はその場をそそくさと後にした。
何をやってるんだお前は。
心の中の私が言う。

5→←3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (9 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
設定タグ:戦争 , 原爆   
作品ジャンル:その他, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:日名無 りん | 作成日時:2019年7月4日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。