4 ページ4
ぐらり、と目眩がして、私の身体はよろけた。
足元を見たけれど、大火傷を負った人は当然いなかった。
「_____大丈夫?」
トン、と誰かが肩に手を置いた。
振り返ると、背の高い青年が私の身体を支えていた。
真希「_____あ………ありがとう…ございます………。」
ふわりと漂う柑橘系の香り。
色白の、男性にしては可憐な顔立ちに、優しくて柔らかい笑みを浮かべている。
「大丈夫?」
真希「………………はい。」
「そっかあ。よかった。」
ほっと溜息をつくように胸に手を当てて微笑する青年。
どうしてか、その笑みに、私は酷く心を奪われた。
その人が凄くかっこいいからとか、そんなんじゃない。
見惚れている訳では無い。
私は、私の心の中で言葉では言い表せないもやもやとした感情がある事さえ、気付かなかった。
「……………?あの?」
青年が笑みを絶やさぬまま私の顔を覗きこんだ。
真希「あ………………。」
「ほんとに大丈夫なの?」
ずっと顔を見られて不快だったのか、青年が顔を歪めた。
真希「あ、ほんとに!ほんとに大丈夫です!」
相手の顔も見ずに、私はその場をそそくさと後にした。
何をやってるんだお前は。
心の中の私が言う。
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:日名無 りん | 作成日時:2019年7月4日 23時