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コーヒーをひとくち。苦いのはあんまり得意じゃないしコーヒーもそんなに好きじゃないけど。
それだけで、大人になれる気がするから。
コーヒーよりもココアが好き。緑茶よりもミルクティーが好き。生のいちごよりもいちごミルクが好き。でも、それらを口に入れることはほとんどなかった。
それは子供みたいで嫌、なんて単純な理由だった。早く大人になりたかった。大人になれば全て終わると思っていた。
それでも、忘れることも諦めることもすべてを聞くことも、何もできなかった私はきっとまだまだ子供なんだろう。
それで良いなんて、思わないけど。
ふう、とため息混じりの吐息ひとつ。
と。
「ぁ……かなただ」
窓の外でスマホを触っている彼方を見つけ、そう言葉がこぼれた。
大学でももうほとんど会わないから姿を見るのでさえ久しぶり。ちょっと嬉しくなって、気づくかな……と視線を送り続けた。
私の視線に気づいたのか、彼方がスマホから顔を上げたから軽く手を振った。微笑み返してくれるかな、なんて思っていたのに。なのに。
ただ単純にびっくりしたとかそういう顔じゃない。
『やってしまった』
そういう、顔。
眉間に少し皺を寄せて、怒っているような顔。それに加えて悲しそうにするから私は何もできなくなってしまう。
なんでそんな顔するの、なんて疑問ももう浮かばない。
それでも彼方から視線を外すことはできなかった。
10秒ほど見つめ合ったあと、その視線を遮ったのはひとりの女性だった。
ふんわりしたスカートに上品なブラウス。ゆるく巻かれた髪はその可愛さを助長させている。
私みたいな取り繕った笑顔じゃない、綺麗で、可愛らしくて、誰もが恋に落ちてしまいそうなその笑顔を彼方に向けていた。
それに対して彼方は焦ったような表情を浮かべ、その女性に何かを話している。……ああ、もういいや。
彼方の視線がその女性に向いている間に外の景色が見えるカウンター席を離れ、レジに向かった。それに彼方から気づいていようがいまいがもうどうでもいい。
私が思ってたとおり婚約者なのかな。それとも、彼女？
私に向けられていた愛情も全てはもうここにはないの？
悔しくて、悔しくて、涙がこぼれそうになっても必死に我慢した。
姿を見れた嬉しさと、彼方の隣に私がいない悲しさと、結局自分が選ばれることはなかった悔しさとがごちゃまぜになってもう何が何だかわからなくなる。
嫉妬心に溢れたこの心はもう元には戻らないと、彼方はきっと知らない。
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ちょこ２（パソコン変わりました≪元ID ５ad0b4ef6a≫）） - とてもよかったです！その後話や別エンドも欲しい！ (11月2日 20時) (
レス) @page35 id: c7ac99c812 (このIDを非表示/違反報告)
ひなり(プロフ) - くるみさん» コメントありがとうございますー！そらるさんの口調とか雰囲気とか寄せれるように頑張ってるので嬉しいです、、！🥰実は実はもうすぐ完結しちゃうんですがあと少し頑張りますねー！！ (2022年1月1日 0時) (レス) id: d80cdc7bcd (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - めっちゃ面白いです、！！！儚い恋愛がそらるさんの大人な雰囲気と相まって続きがめちゃめちゃ気になります笑 (2021年12月31日 21時) (レス) @page29 id: b5a956d8f3 (このIDを非表示/違反報告)
ぱらら(プロフ) - 推しが結婚するっていったらおめでとうｫｫｫｫって発狂する人手を挙げろぉぉぉ (2021年12月25日 10時) (レス) @page29 id: 528bfd8f20 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ - 初コメ失礼します。すっごい続きが気になるぐらいおもしろいです…！！更新頑張ってください。応援してます！ (2021年11月6日 21時) (レス) @page23 id: 8f7a40e1ae (このIDを非表示/違反報告)
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