君には言えない。 (ページ9)

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潤んだ瞳ページ9

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電話を終えて、公園の出口に向かう。

砂の上って歩きにくい、

なんか、スーツを着た女の人が下を向いてる。

下になんかあんの？物でも落としたのかな？

…手伝うべき？、いやファンの人だったとして、もし追っかけの人とかだったら、

悪い癖だ。ネガティブな考え方

「やべ、」思わず声が出た

目の前の女の人に向かって倒れそうになる。

押し倒しちゃう、やばい。

男の本能なのかな、守らないとって思って

自然に抱きしめて2人で砂の上に倒れた。

俺の腕の中にすっぽりおさまる、

こーゆーの免疫ないから、不謹慎だけど少しドキドキした。

俺の顔を見る彼女は歳は同い年くらい？

びっくりした顔でこっちを見てる。

時間が止まった気がした。

瞳が少し潤んでる。

…ちょっと、いやだいぶ可愛い。

落ち着け、落ち着こう。

腕を引いて立ち上がらせて。
彼女は頭を下げて、散らばった荷物を集めて足早に公園を出て行った。

生ぬるくなったココアを残して。

「っあ、ココア…」もういなくなってた。

足元に落ちた携帯を拾って、元太の家に向かう。

ココアをダウンジャケットのポケットに忍ばせて。

タクシーに乗って、着くまでゲームをしようと携帯を開くと
設定した覚えのないさっきの海浜公園らしき写真の待ち受け。

パスワードは、自分のを打っても当たり前に開かない。

あの女の子の携帯だ。

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