君には言えない。 (ページ6)

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条件反射ページ6

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「ってぇ…」

香水の香り。

松倉くんの顔が、目の前にあって

人って驚くと声が出ないっていうのは、本当なんだね

砂浜の上で、大好きなアイドルに抱きしめられてる。

事故だけど、こんな棚からぼたもちみたいなことある？

彼は焦るように立ち上がって、頭を下げてきた

「え、す、すいません！

転んじゃって…、あの。怪我とか大丈夫ですか…？」

「大丈夫です、そちらこそ大丈夫ですか？

私支えきれなくて…、ごめんなさい」

慣れない手つきで私を立ち上がらせてくれる。
心拍数があがっていく

「や、俺…。僕が悪いんで

頭とか打ってないですか？…あの、抱きしめちゃってすいません。」

「本当に大丈夫です、すいませんでした。」

条件反射で、守ろうとしてくれた。
優しい、こっちからしたらラッキー案件だよ…
さらに推せる。

ファンってわかったら気まずい。

冷静を装って散らばった鞄の中身を集めて、

頭を下げてからいつもより早足で道路に向かう。

あ、ココア。おいてきちゃった。まあいっか

仕事のモヤモヤなんてとっくになかった。
　

なんとなく、早く家に帰りたくて
珍しくタクシーに乗り込んで住所を伝えて、背もたれに体重を預けた

…松倉くん、当たり前だけど、知ってたけど

男の子だったな。

優しかったな。

もっと好きになった。

心拍数、まだ落ち着かないな

触れられたところがあつい

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