特等席。 ページ5
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特等席は先客がいたから、今日は大人しく帰ろう。
海浜公園から徒歩20分の家
そこに着くまでにこのモヤモヤをはらそう。
家の方に向かおうとした時、声が聞こえた。
「うん、大丈夫。一緒に頑張ろう、俺らなら大丈夫だよ。お前がいないとダメだよ俺。
やっぱ松松は最高だな!」
…夢かな、
暗くてわからなかったけど、私の大好きな松倉くんが
私にとっての特等席に。いたんだ
話しかけたりしちゃいけない、
いる、松倉くん。当たり前だけど、いるんだ
舞台の中でしか見たことない人が、私の大好きな場所に
あ、こっちに来る。
顔を下に向けて、気付いてませんよってアピール。
海浜公園は一面が砂浜で、視界には私の砂に埋まったヒール。やべって声がして顔をあげた。
松倉くんが倒れ込んできた。反射で支えようとしたけど無理だった。
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後ろに倒れたはずなのに、夜の空は見えなくて。
後頭部には掌の、腰には包むように巻きつく腕の感触。
人のぬくもり 抱きしめられてるみたい。
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作者名:ひなぴ | 作成日時:2020年12月4日 12時