18話 ページ18
朝、ガンガンと揺さぶられ、
「おい!!!おま、お前!!!!!」
と声をかけられ、なんでこんなに嬉しそうなのと思いながら、私は結局起きられなかった。
「おはよう、グルさん」
そう声をかけるとえらく悲しそうな顔をして、
「ああ。」
とだけ返された。
今から飯を作るから好きにしてていい、そう言われ部屋見渡す。私が奇跡的につけていた日記なども見当たらず。
ただ、まっさらなノートを見つけ、これになんでもいいから少しずつ思い出したことと、今日あったことをまとめようと思った。
最悪の場合、というものはやはり考えてしまう。昨日のように倒れてまた最初からと言われるかもしれない。
部屋に置いてあったCDなども聞いてみた。いい曲ねー、とは思う。が、それより多分わたしには好きな人がいたんだろう。
どの曲もだいたい片思いだったり、絶対に叶わないみたいなものばかり。
本棚にはマンガや小説なんかより歴史。
その本棚の片隅に、小さなアルバムがあった。
ぺら、と開くと楽しそうな私とぐるさんだった。手書きの文字で、沢山その写真の思い出が書いてある。
思わず、付き合っていたんだろうかと思った。
付き合っていて、私が倒れて、グルさんは私のために知らないフリを…。
そう考えたけど、それはどうやら違うようだった。二人きりの写真もあるけど、みんなとの方が多くて、デートのようなものはなかった。
一番最後のページは空白だった。
ここに、なにか、まだ。やらなきゃ。
ふと、そう自分の中から聞こえた気がした。
隠すように置いてあったこのアルバム。
未完成らしいこれは、私が完成させるもの。
だけど何かわからない。このもどかしさ。
「A、また二度寝したんか…。」
やれやれというような顔で入ってきて、起きてるじゃないかと起こられた。
咄嗟に隠すようにアルバムを後ろに回す。
「なんかお前…なんだ、具合が悪いのか?」
そんなふうに疑われるけど隠し通してリビングへと促す。
グルさんの朝ごはんは美味しかった。
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柊花(プロフ) - 柊真さん» 勿体ないお言葉です、有り難うございます!期待に応えられるよう、全力で書いていきますね! (2017年9月2日 22時) (レス) id: 942a3aeb4f (このIDを非表示/違反報告)
柊真 - お話の雰囲気がとても魅力的で凄い尊敬します。更新楽しみに待ってます (2017年9月1日 20時) (レス) id: a9d5b4da57 (このIDを非表示/違反報告)
柊花(プロフ) - 狂魔さん» ありがとうございます!!更新頑張りますよー!! (2017年8月16日 8時) (レス) id: 942a3aeb4f (このIDを非表示/違反報告)
狂魔(プロフ) - とっても面白いです!お話の内容が好み過ぎて……!更新待ってます!頑張ってください! (2017年8月15日 22時) (レス) id: 644d6fc42d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊花 | 作成日時:2017年8月15日 11時