［ 君と ］ ページ10
.
医務室で眠るAの顔は、例えるなら白雪姫の様だった
彫りの深い目に、すっと通った鼻筋
長くて艶のあるまつ毛。まるで本から出てきたみたい
そんなAを、暫く六人で囲んでた。
誰も口を開かないじっとりとした重い空間。
“ねぇ”
そう言って先陣を切ったのは、樹だったかな。
田「俺さ、今ホントに悔やんでる。なんで止めてなかったんだろうって。」
静かに、ゆっくりと言葉を紡ぐ樹。
その目はずっと、Aの顔を捉えている
田「俺ら、アイツらと同罪だよ。見て見ぬふりした。弱音を吐かなくても泣けなくても、年下の女の子に変わりはないのに。」
“強いって、過信してた”
その言葉が、重くのしかかる。
松「俺は、この子とならやって行ける気がする。
ひたむきに、ずっと踊ってた。誰よりもリハ室入が早くて帰るのは遅くて。」
確かにそうだった。
少し早く着いたかな、と思っても絶対にAの靴があって、居残り練習をしてもAはまだ残って鏡と向き合ってた。
松「どれだけ嫌な思いをしても、ずっと踊り続けてた。俺はこの子と一緒に活動したいと思ってる。」
息を吸う音すら響くような空間。
それでも、伝わった。
六人全員がAと居たいって思ってること。
「ねぇ、Aちゃんとてっぺん取ろうよ。次こそ俺らがAちゃんを守ろうよ。」
言葉は発さない。
ただ、全員の視線がゆっくりと交わって
しっかりと、頷き合った。
慎太郎がAの手に自分の手を重ねる。
俺、北斗、大我、樹、コーチ
順番に七つの手が重なり合う。
『戻っておいで。もう大丈夫。
もう絶対に、手を離さないから。』
そんな事を呟いて、手を握り続けたっけ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1854人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜桜(プロフ) - 夢主ちゃんが女の子の日になっちゃうお話が読んでみたいです。 (2022年1月11日 13時) (
レス) id: 91e5b79796 (このIDを非表示/違反報告)
rena(プロフ) - あんずあめさん» あんずあめ様リクエスト有難うございます！♡これからもよろしくお願いします！ (2022年1月11日 11時) (レス) id: 11c1b0e842 (このIDを非表示/違反報告)
rena(プロフ) - わかさん» わか様！リクエスト有難うございます！執筆まで暫くお待ちください！これからもよろしくお願いします♡ (2022年1月11日 11時) (レス) id: 11c1b0e842 (このIDを非表示/違反報告)
あんずあめ(プロフ) - 樹くんが熱を出してしまったけど隠していて、ヒロインちゃんが気づくお話を読みたいです！ (2022年1月8日 10時) (レス) @page28 id: 9c5c1f383c (このIDを非表示/違反報告)
わか(プロフ) - 高地くんとドライブデートする夢主ちゃんが見たいです！ (2022年1月5日 21時) (レス) @page28 id: ecdf86f4c4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：RENA x他1人 | 作成日時：2020年7月11日 11時
