黄金色に酔う 【我妻善逸】

三十二. side善逸 ページ6

...


「どうぞっ！」


簪屋には色とりどりの簪がきらきらと並んであった
正直どれもAちゃんが付けたら似合うであろうものばかりで迷ったものだ


だけれど、俺は桃色を選んだ

Aちゃんの血色の良い頬の色

Aちゃんがよくする顔の色、




俺はAちゃんにつけてほしいっていうことを口にするのが恥ずかしくて声がだんだんと小さくなる


それに対してして心臓はドクドクと大きく、早くなる


なんだよこれ、俺の音しか聞こえない




『ありがとう！とっても嬉しい。』



Aちゃんは桃色にうっとりとしてきらきら俺の大好きな瞳で簪を見つめてから俺に目を向ける



ああ、喜んでくれている

自分の心臓はまだ高鳴っているというのに
彼女の心音が耳にそれも鮮明に入ってくる

彼女の心音もそれほど大きいのだろう

嬉しそうに可愛い音がトクトクと鳴っている





...なに、可愛すぎるんですけど
そんな嬉しそうな顔しちゃって
心臓までこんなに鳴らしてくれるの？






たまらなく愛おしい


しばらく彼女を見つめていたい



だけれど、なんだか疑問の音がするな？


耳を慎重に傾ける









そうか、そうだよね



「なんでこんなにしてくれるの？って思ったでしょ」


『えっ』




途端、焦ってまた早まる

今度は甘い音を鳴らさずに



耳が良くて、なんて笑われるだろうか

気味悪がられるだろうか、



いや彼女にもう一度耳を傾けてみろ

醜く穢れを知らないのか？と疑うような美しい音だ

それはすっと耳に入ってくる



.....大丈夫、この子なら




...

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