黄金色に酔う 【我妻善逸】

三十. side善逸 ページ4

...



俺が雄叫びをあげてその時あまり気にしなかったけれど周りの客は不思議そうな目で俺を見ていた


でも彼女はからからと笑っていた




彼女の笑顔は本当に綺麗で

高らかに笑う

それがとても愛らしく思える



そして笑い声は鈴がシャンシャンと鳴っているように澄んだ音が耳に入っていく


彼女そのものがこの世の綺麗な音の鳴る部品を集められて作られた楽器のようだ





『あー...笑ってる顔も可愛い』


ずっと見ていたく、聞いていたくなる飽きない子だよ本当に




彼女はずっと見据えている俺の方を見てハッとして我に返ったようにして


『ねえ、我妻だとあがづまって呼び間違えそうになるかもだから善逸くんでいい？』


「いいよおおおおおお！というかそっちの方がいいよおおおおおお！」


答えはもちろんのこと


変な理由、とちょっと吹き出しそうになったけれど
そんなことより下の名前で呼ばれるという事の方が大きいし嬉しすぎて今なら空飛べそう



Aちゃん可愛い...
花冠作って乗せてあげたいなあ




あ、！





「そうだ！Aちゃんの好きなお花ってなに？」



『好きなお花.....？」



うーん、と首をひねらせて眉をひそめる顔も完璧。花丸あげたいくらいに可愛い


そしたら、何か思いついたような顔をして



『ひなげしっていうお花なんだけどね！とっても可愛いの。でも今は咲く季節じゃないんだけれど、』



ひなげし....


聞き覚えのない花の名前だ




「初めて聞いたなぁ、！じゃあじゃあ、その花を
Aちゃんにプレゼントするよ！」



『えっ！そんな、悪いよ。それに店にも売ってるか分からないし』




申し訳なさそうに眉をまたひそめて言葉を綴る唇がまた愛らしい



この子を俺がまたあの可愛らしい笑顔にさせてあげたら、どんなに俺はその時嬉しいだろう


Aちゃんが俺の作った花冠を頭に乗せて...




だめだ、たまらん






「Aちゃんを喜ばせたいから」




なんて緩んでしまいそうな頬に力をいれて言った俺だけれど、下心しかなかった


懇願すると彼女は柔らかく、優しく微笑んで




『ありがとう』




嬉しそうにゆったりとまた俺にその顔で魅せる



すると、せっかく力を入れた頬が緩んじゃったけれど、彼女は一層幸せそうにまた笑った





...

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