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マンション前で山ちゃんがニコニコ俺を見ながら、俺の父さん、と紹介してくれた。山ちゃんのお父さんも優しそうな笑顔で俺にお辞儀をしてきたので、俺も軽く頭を下げた。で、俺の隣の部屋のいのちゃん…えっと…と、俺の苗字を忘れたようなので被せて、初めまして、隣の伊野尾です。と挨拶をしたら、涼介がお世話になってますって言われたけど、なんの世話もした事ない。
親子の空間ができたので俺はさっさと部屋へ帰ろうと思い、じゃあ山ちゃんまたねーと山ちゃんに声かけて、お父さんに再度お辞儀をしエントランスへ入った。
後ろからバイバーイと聞こえたので、振り返り山ちゃんへ軽く手を振った。
この一連の流れの中で山ちゃんはいつも通りの、俺が知ってる山ちゃんだった。だけど、最初のほんの一瞬のあの顔が忘れられない。
山ちゃんのお父さんは何処にでも居そうな普通のお父さんだと思う。仕事帰りなのかスーツが暑そうだったけど。背は俺より少し高めでガッチリした身体つきだけど、優しそうな笑顔だった。
あの山ちゃんの一瞬の顔さえ無かったら、思春期の山ちゃんの多少の気まずさ以外は、義父との関係性は良好なのかなと思えたし、実際そうとしか見えないくらい親子の空間は微笑ましかった。俺が単に深読みし過ぎなのかと、気のせいかと思うくらい。
俺は山ちゃんの事全然知らない。だけどいつも話してくれる家族の話が嘘じゃないなら、あんな鋭い目で心の底からの嫌悪の目が現れる事なんてない。
本当は義父の事が嫌いなんだろうか。でも、もしそうならあんな嬉しそうに父親に駆け寄るだろうか？
うん、やっぱりよくわからない。別にここで答えなんか出ないし。俺は山ちゃんじゃないから、山ちゃんの胸の内なんかわかんない。もっと言えば、山ちゃんと家族がどんな関係性なのかなんて俺には関係ない事だ。
いつものように早々に完結した、俺、以外の関係の無い話。見るわけでもなくただ点いているテレビのように、そこに俺はいない。興味を持って見れば楽しめるくらいの無くても良い話。
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もとか(プロフ) - ちこさん» 感想なんて頂けると思っておらず、気付くのが遅くなりました。とても嬉しいお言葉ありがとうございます。本当勝手なイメージですが、楽しんで頂けたら嬉しいです。 (2017年8月4日 0時) (
レス) id: c52394b53a (このIDを非表示/違反報告)
ちこ(プロフ) - こちらの作品の伊野尾くんの心理描写が、自分に見えている伊野尾くん像に近く、頷きながら読ませていただいています。読み応えのある文章で、とても楽しいです。ゆったりと、こちらの作品の行く先を見届けさせていただけたら幸いです。更新頑張って下さい。 (2017年7月22日 21時) (携帯から) (レス) id: 01135ac351 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もとか | 作成日時：2017年7月19日 22時
