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夏はもう少し先だけど体感温度はもう夏だと思うくらい暑かったので、家の近くのスーパーで晩に食べるお惣菜と今帰りに歩きながら食べるアイスを買って店を出た。
アイスの棒が覗き出した時、いのちゃーんと俺を呼ぶ声が後ろから聞こえた。前に出した足をそのまま後ろへ向け振り返ると、学校帰りの山ちゃんが手振りながら近づいてきた。
おかえりー今帰りー？と声を掛けながら、隣に来た山ちゃんと並んで歩き出した。
もう音楽は切ってあるようだが、山ちゃんの首のヘッドフォンは多分こないだの彼の誕生日に彼女がプレゼントしてくれたと言っていた物だろうか。嬉しそうに話してたのを思い出し、このヘッドフォンこないだ言ってたやつー？と聞くと、すげー嬉しそうな顔で、そーなの、格好良いっしょ？と返しながら、ポケットから携帯を取り出し、ちょっとごめんと言って画面に目を向けた。
ただの棒を口に咥えながら十数メートル前のマンションへ目を向けると誰か立ってた。
特に知ってる人でなさそうなので何のリアクションもしてないが、マンションへ向かう俺らの人影に気付いた誰かがこっちを向くと、あって顔して片手を上げたので、山ちゃんの知り合いかな？と山ちゃんへ俺が顔を向けたのと、涼介。とその人が山ちゃんを呼ぶ声は同時だった。
LINEしてたであろう山ちゃんが、自分の名前を呼ばれて、弾かれたように顔を上げた。
その人が、涼介。と呼んだ後に山ちゃんへ顔を向けてたら気づかなかったと思う。それは一瞬だったから。
山ちゃんは誰かに名前を呼ばれて顔を上げたんじゃない。
涼介と呼ぶ声で既に誰かわかってたんだ。
父さんーと笑顔で手を振り出した山ちゃんを見ても、多分俺はちゃんといつも通りの顔で山ちゃんを見てたと思う。顔には出てないと思う。
名前を呼ばれた時点で、誰に呼ばれたか把握してたであろう山ちゃんの顔は、なんてゆーか、すげー怖い顔だった。でももっと怖いのは、一瞬ののち、いつも俺に向けてくれるような笑顔を見せた事。
あの時と状況は全然違うけど、その笑顔にあの頃の大ちゃんがダブって見えた。
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もとか(プロフ) - ちこさん» 感想なんて頂けると思っておらず、気付くのが遅くなりました。とても嬉しいお言葉ありがとうございます。本当勝手なイメージですが、楽しんで頂けたら嬉しいです。 (2017年8月4日 0時) (
レス) id: c52394b53a (このIDを非表示/違反報告)
ちこ(プロフ) - こちらの作品の伊野尾くんの心理描写が、自分に見えている伊野尾くん像に近く、頷きながら読ませていただいています。読み応えのある文章で、とても楽しいです。ゆったりと、こちらの作品の行く先を見届けさせていただけたら幸いです。更新頑張って下さい。 (2017年7月22日 21時) (携帯から) (レス) id: 01135ac351 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もとか | 作成日時：2017年7月19日 22時
