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涼介が俺を受け入れてない訳じゃないのはわかってる。でも、仲の良いおじさんと…父親じゃ受け入れ方も変わってくるよな。…ごめんな、留学するまでの1年を父親として過ごしたい…なんて、俺の勝手な理想だった。…信じてほしいのは、俺は決してお前の居場所を奪おうなんて思ってもいなかった。そんな風に感じさせてしまった事を…謝らせてほしい。





そう言って頭を下げた父さんに掛ける言葉も見つからない。


だってあの日の涙は演技だったんだから。多少本音ではあったけど、母さんが俺の涙に弱い事を知っていたから、だから、ワザと流した涙だったのに。


口元が引き攣るのを感じたけど、やっぱり言葉が見つからない。ゆっくり父さんが顔を上げた。





涼介が家を出てから、お母さん落ち込んでな…この2ヶ月色々話したんだけど、お前達が嫌なら…俺はお母さんと距離を置こうと思ってるんだ。


そう言う父さんの笑顔はとても寂しいもので、引き攣った俺の口元が緩んでいくのを感じた。そして多分俺も今父さんと同じ様な顔をしてると思った。






望んだ通りになったのに、この人が信じられないから家を出たのに。…すごく、すごく泣きそうになる。






3人供…色々想う年齢だったのに、こんな、知らないおっさんを笑って受け入れようとしてくれた…本当に嬉しかったんだ…




そう呟く父さんがひどく小さく見えて、そういえば父さんも前の奥さんと息子さんを亡くしてる事を思い出した。


出会って間もない頃、小学校に上がる前の息子が居たと聞いた。
それっきりその話はした事がなかったけど、ひょっとしたら父さんは俺の事を息子さんと重ねて見ていたのかもしれない。





家族を無くすという事の痛みを知ってるこの人に、またその痛みを俺が与えてしまってる。





そんな風に感じて、でも、やっぱりあの日の母の部屋に居たこの人を、どこまで信じていいのかわからない。
聞きたい事も言いたい事もあるはずなのに、何も言葉にできない。





2人していつの間にか俯いて、お互い言葉がでない。冷静に考える時間がほしい。


そう思った俺はなんとか絞り出すように、ちょっと時間ちょうだい。と言って、父さんの顔も見ずに喫茶店を出た。




父さんの顔なんて見れなかった。

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もとか(プロフ) - ちこさん» 感想なんて頂けると思っておらず、気付くのが遅くなりました。とても嬉しいお言葉ありがとうございます。本当勝手なイメージですが、楽しんで頂けたら嬉しいです。 (2017年8月4日 0時) (レス) id: c52394b53a (このIDを非表示/違反報告)
ちこ(プロフ) - こちらの作品の伊野尾くんの心理描写が、自分に見えている伊野尾くん像に近く、頷きながら読ませていただいています。読み応えのある文章で、とても楽しいです。ゆったりと、こちらの作品の行く先を見届けさせていただけたら幸いです。更新頑張って下さい。 (2017年7月22日 21時) (携帯から) (レス) id: 01135ac351 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もとか | 作成日時:2017年7月19日 22時

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