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春休みのある日、俺は友達との約束が夕方からだったから、昼間部屋で寝ていた。その日は彼が昼からうちに来ていた。姉は友達と朝から出掛けて、妹も彼と入れ違いで遊びに出掛けた。しばらくして母がスーパーにでも出掛けたのか、家には俺と彼だけになった。ようだ。俺が気付いたのは、母が玄関のドアを閉めた音で起きたから。数十秒後車が駐車場から出る音がして、出掛けたのかなと思った。
ボーッとする頭がゆっくり冴えてきて、ゆっくりベッドから出ると少し遠くでドアを開ける音がした。ビクッとして一瞬泥棒かと思った。音を立てないように部屋のドアを開けると俺の部屋の２つ隣、母の部屋のドアが開いていた。まさか、と思ったが、そっと音を立てずに母の部屋へ近づいた。
最新の注意を払ってドアの隙間から部屋を除くと、あの人がクローゼットや引き出しを漁ってた。心臓が止まるかと思った。そして泣きそうになった。やがてクローゼットの下の小さな金庫に気付いたそいつはしゃがみ込んで必死にダイヤルを回してた。必死すぎて俺に気付いてない。
これ以上見ていられなくて、そっと部屋へ戻り、携帯から自宅の番号を呼び出した。
静かな我が家から電話のコールが聞こえる。
ドアに耳を当て廊下の様子を伺うと、ガタゴトと聞こえ、あいつが階段を降りる音がした。多分あいつも驚いて詮索を止めたんだろう。俺はそのままドア伝いに座り込んでしまった。
怖かった。こないだまで家族に近い存在だと思ってた人が、まだ自分の家でもない他人の家を詮索している。
平常心を保ちながら俺は部屋を出てリビングへ向かった。リビングのドアを開けるとそいつがビックリした顔で、涼介…居たのかと声をかけた。んー…部屋で寝てたんだけど…なんか電話鳴らなかった？と自分でコールした電話の音で起きたフリをした。
そいつは少しホッとした顔で、ああ、鳴ってたけど…取るわけにもいかないしね。と笑いかけてきた。俺も、そーだねと笑った。
俺は自分が想像した事が現実味を帯びた事にショックを受けた。下手なドラマより酷いストーリーだ。
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もとか(プロフ) - ちこさん» 感想なんて頂けると思っておらず、気付くのが遅くなりました。とても嬉しいお言葉ありがとうございます。本当勝手なイメージですが、楽しんで頂けたら嬉しいです。 (2017年8月4日 0時) (
レス) id: c52394b53a (このIDを非表示/違反報告)
ちこ(プロフ) - こちらの作品の伊野尾くんの心理描写が、自分に見えている伊野尾くん像に近く、頷きながら読ませていただいています。読み応えのある文章で、とても楽しいです。ゆったりと、こちらの作品の行く先を見届けさせていただけたら幸いです。更新頑張って下さい。 (2017年7月22日 21時) (携帯から) (レス) id: 01135ac351 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もとか | 作成日時：2017年7月19日 22時
