ヒラ《はつでーと・後編》＊ ページ38
「え、あ、うん……？」
困惑しながら曖昧に頷くと、ヒラにまた手を引かれた。
「こっち来て。花火が綺麗に見える場所知ってるから」
彼にされるがままで連れていかれたその場所は、本当に花火が綺麗に見える場所だった。
相当な穴場らしく、周囲に誰も人がいなかった。
「すごい、本当に綺麗に見えるね……！」
感動しつつ呟くように言うと、ヒラは満足そうに笑った。
「でしょ？……ねぇ、A」
「ん？」
花火に釘付けな私の体を抱き寄せ、ヒラは囁くように言った。
「『ふたりっきり』だね」
「ふたっ……！？えっ……？」
そう言われればそうだ。
周囲に人はおらず、この場にいるのは私とヒラだけ。
つまりは『ふたりっきり』なのだ。
「なーに恥ずかしがってんの。可愛い」
まぁ、彼が言いたいのは、『何を今更』ということなのだろう。
私と彼は幼馴染で、小さい頃からこうやってふたりっきり過ごす事も少なくなかった。
それは成人してからも同じだ。
だから彼の言う通りなんだけれども。
「恥ずかしがってないし。それに可愛いのはヒラの方でしょ？」
舌打ちして言うと、ヒラはあからさまに顔を歪めた。
あ、これ怒ってる顔だ。やらかし案件だわ。
みんなごめんA氏やらかしたわ。
「ほんっとにさ、男に可愛い可愛いって言って何が楽しいの？俺としては可愛いって言われるくらいならかっこいいって言われたいんだけど？」
ド正論だ。
だって、私ももし男だったら『可愛い』じゃなくて『かっこいい』って言われた方が絶対に嬉しいから。
「ごめんねヒラ……つい口が滑って」
「ごめんで済んだら警察は要りませーん」
冗談めかして言うが、笑ってはいない。
至って真顔だ。怖いくらい真顔だ。
私の顎をクイッと持ち上げ、無理やり自分と視線を合わせるようにした。
「Aの方がよっぽど可愛いよ。顔も性格も」
「そんなことないよ」
苦笑して返すと、ムッとした顔をされた。
それもまた可愛かったが、口には出さなかった。
「俺からすれば可愛いの。だから守ってあげたくて」
「え？」
今、なんて……
そう聞こうとした瞬間、私たちの横でひときわ大きな花火が打ち上がった。
そしてその瞬間、頬に柔らかな感触があった。
それがキスだと気付くのにそう時間は要さなかった。
「だからこれからもよろしくね、A」
その言葉に、私は思わず微笑んだ。
また花火が打ち上がった。
ヒラ《はつでーと》
フジ《俺だけのお姫様・前編》＊→←ヒラ《はつでーと・前編》＊
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まりな - すごく面白かったです！ ネタなんですが、お互いがお互いを助けようとして過去に戻り、すれ違う。的なお話が個人的には面白そうだなぁと、思っています！ できればキヨさん推しなのでキヨさんがいいです！←めっちゃ失礼してる気がする。… 長文失礼しました！ (2019年9月17日 22時) (
レス) id: 09dc9c6a8c (このIDを非表示/違反報告)
緋奈香 - みねさん» 本当にありがとうございます…！こーすけさんのネタ切れが激しかったのでマジで助かりました！ありがとうございます！書き方クッソ下手ですけど許してください)^o^( (2019年7月16日 22時) (レス) id: 6b4203fd69 (このIDを非表示/違反報告)
みね(プロフ) - 緋奈香さん» どうぞどうぞ！むしろうちの案は作者様のものとして扱って下さいな笑 (2019年7月16日 21時) (レス) id: 214adefcf9 (このIDを非表示/違反報告)
緋奈香(プロフ) - みねさん» なるほど！めっちゃいいですね、そのネタお借りします(^^) (2019年7月16日 21時) (レス) id: 2a8fba13b5 (このIDを非表示/違反報告)
みね(プロフ) - こーすけと一緒にバイキングに行ってみた 的な？やつです笑 どっちが多く食べれるかなど競ったり〜みたいなって思ってます！ (2019年7月16日 6時) (レス) id: 214adefcf9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緋奈香 | 作成日時：2019年7月12日 16時
