フジ《ギャップ》 ページ32
私は今日、あるバンドのライブに来ている。
そのあるバンドとは、私の幼馴染、フジがベースを担当している『わくわくバンド』というゲーム実況者によって構成されているバンドだ。
実況者がバンド？と思う人もいるかもしれないが、普通のバンドと引けを取らないほどクオリティは高い。私なんて楽器のひとつも弾けないから尚更凄く感じてしまう。
で、今回のわくわくバンド、通称わくバンのライブのチケットの抽選に見事当選し、今日こうして会場に来たのだった。
あー緊張する……いや、私が緊張してどうすんだ、と気合を入れ、会場に入った。
「あ、私の席はあそこか…」
呟くように言い、席に着く。
ライブ開始までまだ時間があると言うのに、会場は人でごった返している。それだけわくバンが人気があるということだろう。
暇を持て余してぼーっとしていると、後ろの席から女性2人の話し声が聞こえてきた。
「ね、わくバンのベースのフジってめっちゃかっこよくない？」
「それなー！面白いし器用だしイケボだし！非の打ち所ないよねー！」
フジってこんなに人気あったんだな……と思わず苦笑してしまう。私たちと会話してる時なんて、ただのド変態グラサンマスクくらいにしか思えないのに。(超失礼)
それから少し時間が経ち、ライブが始まった。
何かのライブに来たのは今回が初めてで、熱気に押されながらもものすごく楽しめた。
ライブが終わり、会場を出る。
早く帰ろ、と、私は足早に帰る為に駅までの近道に入った。道中で、思わず呟く。
「なんか……フジ、意外にカッコよかったなぁ……」
「そう？ありがと」
「えっ！？」
勢いよく振り返ると、そこにはフジがいた。
いや、ライブ終わりなのに、なんで？
「Aもライブ来てくれてたんだ？」
驚いている私にはお構い無しに、フジが聞いてくる。
「え、あ、まぁ……その、友達に、チケット貰っちゃったから」
咄嗟に嘘をついたが、問い詰められることも無く「ふーん」と興味なさげに返される。
「てか、フジあんた大丈夫なの？ライブ終わりだよね？」
「ああ、予定があるって言って先に帰ったんだよ」
「そうなんだ……」
小さく頷くと、突然手を握られた。
「でも、お互い一人で帰るのもなんだし、一緒に帰ろ？」
ね？と聞かれ、思わず笑ってしまった。
さっきのかっこよかった彼はどこへやら。
でも、目の前の彼は、いつもの彼だ。
フジ《ギャップ》
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まりな - すごく面白かったです！ ネタなんですが、お互いがお互いを助けようとして過去に戻り、すれ違う。的なお話が個人的には面白そうだなぁと、思っています！ できればキヨさん推しなのでキヨさんがいいです！←めっちゃ失礼してる気がする。… 長文失礼しました！ (2019年9月17日 22時) (
レス) id: 09dc9c6a8c (このIDを非表示/違反報告)
緋奈香 - みねさん» 本当にありがとうございます…！こーすけさんのネタ切れが激しかったのでマジで助かりました！ありがとうございます！書き方クッソ下手ですけど許してください)^o^( (2019年7月16日 22時) (レス) id: 6b4203fd69 (このIDを非表示/違反報告)
みね(プロフ) - 緋奈香さん» どうぞどうぞ！むしろうちの案は作者様のものとして扱って下さいな笑 (2019年7月16日 21時) (レス) id: 214adefcf9 (このIDを非表示/違反報告)
緋奈香(プロフ) - みねさん» なるほど！めっちゃいいですね、そのネタお借りします(^^) (2019年7月16日 21時) (レス) id: 2a8fba13b5 (このIDを非表示/違反報告)
みね(プロフ) - こーすけと一緒にバイキングに行ってみた 的な？やつです笑 どっちが多く食べれるかなど競ったり〜みたいなって思ってます！ (2019年7月16日 6時) (レス) id: 214adefcf9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：緋奈香 | 作成日時：2019年7月12日 16時
