キヨ《事故》*みね様リク ページ14
「キヨっ!!危ない!!」
今日は、みんなにサプライズで料理を振舞ってあげようと、キヨとふたりで買い出しに来ていた。
その帰りに、その出来事は起きた。
帰り道の横断歩道。
信号は押しボタン式で、ボタンを押して青に切り替わるのを待ってから渡った。
その瞬間。
相当飛ばしていたのか、止まれなかったらしいトラックがこちら目がけて突っ込んでくる。
私は少し遅れて歩いていたが、そのトラックの延長線上にはキヨがいた。
考える前に体が動くというのはこういうことなのだと、改めて実感した。
キヨが危ない。守ってあげないと。
その一心で、私はキヨを突き飛ばし……
盛大なクラクションの音が鳴り響いた後、
トラックに、轢かれた。
「A……なんで、なんでこんな馬鹿なこと……俺のせいだ……」
違う、違うよキヨ。
貴方のせいじゃない。
勝手なことをした私が悪いの。
そう訴えたかったが、思うように喋れない。
喉の奥から、うめき声にも似た掠れた声が途切れ途切れに出てくるだけだ。
「……よ」
「……A?気が付いたのか?」
意識がだんだんとハッキリしてくる。
殺風景な部屋。薬品の匂い。機械音。ベッド。
そうだ、私は車に轢かれて、それで──
ここは病院、か……
「キヨ……ごめんね……」
「Aっ……」
キヨは、ベッドの傍らの椅子から立ち上がり、身を乗り出すようにして私の顔を覗き込んでいる。
「私なら、大丈……いたっ」
意識がハッキリすると同時に、痛みもだんだんハッキリしてくる。
だいぶ強く体を打ち付けたから、どこかを打撲していてもおかしくない。
「A、無理すんな……それに、俺の方こそ、ごめん。女に庇わせるとか、俺、どうかしてるよな」
そう言って、キヨは自嘲的な笑みを浮かべる。
だから、違うんだよ。
私が勝手に庇っただけなのに……
「……キヨは、悪くないよ。心配かけてごめんね。今日は、早く帰って、みんなにご飯作ってあげて。
ほら、レシピ渡すから。喜んでもらうんでしょ?」
精一杯の作り笑顔で、痛みに耐えながら鞄から紙切れを取り出す。キヨと一緒に作ろうと思ってメモってきたレシピだった。
「……」
黙ったままのキヨの口元に手をやり、クイッと口角を上げた。
「笑ってないと、キヨらしくない」
ね?と微笑むと、キヨは私の頭を優しく撫で、その場を立った。
「……今度は、絶対に一緒に作ろうな。A」
私は、こくりと小さく頷いた。
キヨ《事故》
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まりな - すごく面白かったです! ネタなんですが、お互いがお互いを助けようとして過去に戻り、すれ違う。的なお話が個人的には面白そうだなぁと、思っています! できればキヨさん推しなのでキヨさんがいいです!←めっちゃ失礼してる気がする。… 長文失礼しました! (2019年9月17日 22時) (レス) id: 09dc9c6a8c (このIDを非表示/違反報告)
緋奈香 - みねさん» 本当にありがとうございます…!こーすけさんのネタ切れが激しかったのでマジで助かりました!ありがとうございます!書き方クッソ下手ですけど許してください)^o^( (2019年7月16日 22時) (レス) id: 6b4203fd69 (このIDを非表示/違反報告)
みね(プロフ) - 緋奈香さん» どうぞどうぞ!むしろうちの案は作者様のものとして扱って下さいな笑 (2019年7月16日 21時) (レス) id: 214adefcf9 (このIDを非表示/違反報告)
緋奈香(プロフ) - みねさん» なるほど!めっちゃいいですね、そのネタお借りします(^^) (2019年7月16日 21時) (レス) id: 2a8fba13b5 (このIDを非表示/違反報告)
みね(プロフ) - こーすけと一緒にバイキングに行ってみた 的な?やつです笑 どっちが多く食べれるかなど競ったり〜みたいなって思ってます! (2019年7月16日 6時) (レス) id: 214adefcf9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緋奈香 | 作成日時:2019年7月12日 16時