キヨ《あざやかな光・後編》 ページ36
何発も何発も打ち上げられては消えていく。
何色もの光が
その様子に、私もキヨも無言で目を奪われてしまっていた。
ちらりと彼を見やると、たまたま目が合った。
ずるいことに、キヨは私の目を見て笑う。
花火大会も終わりに差し掛かり、人々はそれぞれ帰っていく。周りに人はほとんど居なくなり、ボーッと空を見ていた私とキヨだけが残った。
「……あ、もう花火大会終わっちゃったね。そろそろ帰ろうか……?」
なんか、呆気なかったな。
本当はキヨに言いたいことがあったのに。
仕方ないよね。
私が意気地無しなのが悪い。このままじゃキヨと不釣り合い以外の何者でもない。
「A」
「ん?」
くるりと背を向けて帰ろうとすると、呼び止められる。何かと思い振り返ると、キヨは真剣な眼差しで私を見ていた。
「なんか、言いたいことありそうな顔してんぞ。
言いたいことあるならはっきり言え」
「え、なん……」
「だから言ったろ。幼馴染だからそのくらい分かるって。幼馴染舐めんな」
そこまで言って、キヨはやっと笑った。
その笑顔に安心感を覚えつつ、私は緊張しながら彼を見上げた。
「じゃあ、言わせてもらうけど」
「おう」
「キヨ……ずっと前から好きだった。いつも明るくて、優しくて、笑顔が素敵なキヨのことが。
でも、周りの目が怖くて、ずっと言うの我慢してた。……こんなタイミングでごめんね。
もう遅いし、終電無くなっちゃうから帰るね。じゃ」
一気に早口で告げ、私はその場を逃げ出すように早足で後にしようとした。
否、それは叶わなかった。
何故なら─
「ちょっと待て」
グイッと腕を引かれ、彼の胸に倒れ込むような体制になってしまったから。
「キヨっ!?何してんの!?」
驚きのあまり大声を出してしまう。
キヨは私の耳元で囁くように言った。
「あのさ、俺も─」
「ん?」
「好きだった」
「……へ」
見上げると、キヨは顔が真っ赤だった。
今は花火が打ち上がってない。だから、花火のせいじゃないってはっきりわかる。
「へ、じゃねぇよ。この鈍感女」
悪戯っぽく微笑みながら、キヨは私の額を小突いた。
「った……誰が鈍感よ、ばーか」
小突き返すと、キヨは驚いたようだったが、優しく笑った。
「でも、ありがと……すごい嬉しい」
微笑む私たちの後ろで花火が打ち上がった、気がした。
キヨ《あざやかな光》
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まりな - すごく面白かったです! ネタなんですが、お互いがお互いを助けようとして過去に戻り、すれ違う。的なお話が個人的には面白そうだなぁと、思っています! できればキヨさん推しなのでキヨさんがいいです!←めっちゃ失礼してる気がする。… 長文失礼しました! (2019年9月17日 22時) (レス) id: 09dc9c6a8c (このIDを非表示/違反報告)
緋奈香 - みねさん» 本当にありがとうございます…!こーすけさんのネタ切れが激しかったのでマジで助かりました!ありがとうございます!書き方クッソ下手ですけど許してください)^o^( (2019年7月16日 22時) (レス) id: 6b4203fd69 (このIDを非表示/違反報告)
みね(プロフ) - 緋奈香さん» どうぞどうぞ!むしろうちの案は作者様のものとして扱って下さいな笑 (2019年7月16日 21時) (レス) id: 214adefcf9 (このIDを非表示/違反報告)
緋奈香(プロフ) - みねさん» なるほど!めっちゃいいですね、そのネタお借りします(^^) (2019年7月16日 21時) (レス) id: 2a8fba13b5 (このIDを非表示/違反報告)
みね(プロフ) - こーすけと一緒にバイキングに行ってみた 的な?やつです笑 どっちが多く食べれるかなど競ったり〜みたいなって思ってます! (2019年7月16日 6時) (レス) id: 214adefcf9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緋奈香 | 作成日時:2019年7月12日 16時