罰ゲーム2 (ページ21)

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紫side ページ21

視界の端に入ったたつと安の様子から、何となく上手くいったんやなって感じた。

たつの話を聞いて丸のこと好きやったんやって驚いたけど。
本音は伝えたし、丸の考えも間違えてないと思う。

たつが必要としてる人は丸じゃない。
丸に対しての感情を“勘違い”やとは思わん。
けど、いっときの気の迷いやとは思う。

話の流れで知ってしまったけど、亮と関係してるんやと思うし。

「………問題はあいつやなぁ」

口硬いし、変に頑固やし、ビビリな癖に変に優しいから何も言わへん。
間に入って、いつだって俺らを見守っているくせに。

自分のことは全部後回しや。

「はぁ……」

「何のため息なん？」

「えっ？」

横を見ればヨコが少し不機嫌そうにこっちを見てた。
俺は「ライブ前やからな」とだけ言った。

たつの話をするにはリスクがありすぎる。
多分、ヨコはまだ丸と亮のことを受け止める皿がないはずや。
今回ばかりは黙っとくに限る。

「なんで今日、大倉と一緒やったん？」

「たつが昨日家に来たから」

「ふーん……」

「なんやねん、急に」

「………いや、別に」

「あ、言っとくけど！別に何もしてないからな！ただライブの話して、流れで泊まらせただけやから！」

俺の言い分にヨコは急に不機嫌やった顔から一変して楽しそうに笑った。
俺はそんなヨコが不思議で「どこに笑う要素あったん」と言ってやった。
ヨコは嬉しそうに微笑みながらゆっくりと俺の耳元に近づく。

「必死に弁解しようとするヒナが可愛すぎるから」

嫌でも真っ赤になってるのがわかる。
多分、耳も顔も全身が。
俺はそんなヨコを突き飛ばしてスタジオを出る。

あかんあかん。
こんなんじゃライブまでにやられる。
あかん、今は気を引き締める時期やねんから。
俺がこんなんやったらあいつらの問題を解決してやれへん。

「はぁ………」

俺はまた頭を抱えた。

なぁ、すばる。
お前やったらどうしてた？
お前がおったら、もう少し変わってた？
それとも、俺も知らん間に問題解決してた？

「…………たらればはやめなあかんな」

結局、誰よりもあの日から前に進めてないんは俺なんかもしれへん。
みんな前に進んでるから、こうして悩んでるんやから。

俺は何も変わってない。

「あれ？信ちゃん、どうしたん？」

後ろから声が聞こえてきたと思ったら、たつが心配そうに駆け寄ってきた。

「たつ……」

「もしかして、横山くんに怒られた？」

「怒られてへんわ！」