罰ゲーム2 (ページ12)

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青side ページ12

「あれ？」

亮と話も出来たし、なんとなく丸と亮の関係性も分かってきた。
俺に今できることは、やっぱり大倉を止めることしかない。
大倉を傷つけることになったとしても、俺にはこれしかないから。

そんなこと考えながら家路に着けば、人影があって少しだけ身を守る。
けど、すぐにその人影がわかって緊張が解れる。

「横ちょ」

「ヤス、おかえり」

「どうしたん？もしかして、待ってたん！？」

「まぁ……待ってたな」

「ごめんごめん！！早う入り！！」

俺はすぐに扉を開けて横ちょを招き入れようとしたが、横ちょは首を振った。

「いや、一言伝えたかっただけやから」

「え、そ、そうなん？」

横ちょはニコッと微笑むと優しい口調で話しだした。

「俺、ヒナが好きや」

横ちょのたった一言は俺の心を癒すかのように、全身が包まれていく。
ずっと気にしていたメンバー間の関係性。
大倉と丸と亮だけでも大変で、年上組の関係性まで最近様子が変で。
でも、俺にできることは何もなかった。
ただ、横ちょとヒナちゃんの話を聞くことしか。

「やっと認めてくれたん！！」

「まだ、ヒナには伝えてへんけど。というか、口止めされてしまったから」

「そ、そうなんや」

「やから、ライブが終わったら伝えるって約束してやったわ」

「………横ちょはやっぱりかっこいいね」

もし、横ちょみたいな勇気が亮や丸にあったら何か変わってたんかな。
いや、変わってへんよな。

結局、最終的にはこうなってるか。

「ヤスも早く大倉と仲直りせぇよ」

「え……」

「今のままじゃライブ成功しても喜ばれへん」

それだけ、と言って横ちょは歩き出した。
一回だけ立ち止まって振り向いた。

「俺はかっこ悪いで、ヤスに背中押されな動けんかってんから」

横ちょは子どもみたいに笑ってまた歩き出した。
俺はそんな横ちょの背中が見えへんくなるまで、ずっと見送った。

「………俺も、かっこ悪いねんで」

亮の涙を見て、丸の必死さを見て、大倉のしんどさを見て、ヒナちゃんの我慢を見て、横ちょの葛藤を見て。

俺は、何もしてないことに気付いてんから。

「……大倉と仲直り」

喧嘩なのか微妙なこの空気を変えるための“謝罪”なんかで良いのか。
それじゃ俺はまた一緒な気がするんよ。

俺は、大倉に何を一番に伝えたいんやろう。

今のままじゃ、なんもわからへんよ。