罰ゲーム2 (ページ2)

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青side ページ2

「安、最近元気ないな」

「えっ」

ライブの打ち合わせ前の楽屋。
横ちょが単刀直入に俺に聞いてきた。
素っ頓狂な声が出てしまったのは許して欲しい。
やって、そんなつもり全くなかってんもん。

「そういう横ちょは最近元気……というより、スッキリしてるよな。持ち帰り案件は解決したん？」

「そ、それは……また、おいおいで………」

追い追いということは、何かしらあったってことやんな。
あからさまに横ちょは目を逸らして、少しだけ頬を染めた。
でも、照れてる様子ではなかった。

「ってか、今話逸らしたやろ！」

「逸らしてへんよ」

「………安、何かあったん？3日前くらいから変やで？」

「………おん」

「本番まであと少しやで？無理はして欲しくないからこそ、なんかあったならちゃんと言ってや？」

さすが横ちょやな、お兄ちゃんやわ。
何となく話しても良いと思った。
何となく聞いて欲しいと思った。
やから、口を開こうとした。

「実はさーーｶﾞﾁｬｯ

「おはよぉ」

やけど、聞こえてきた声に喉が詰まった。
声の主は俺のほうをﾁﾗｯとだけ見て何も言わずにソファに座り資料を眺める。
俺は一瞬の冷たい視線が頭から離れず思わず立ち上がった。

「うぉっ、どうしたん？」

「ス、スタッフさんに話しあったん思い出したわ」

わかりやすい嘘をついて俺は楽屋を出る。
その瞬間もあの冷たい視線を向けられていた。

大倉とすれ違ってから3日経った。
本番まで1ヶ月を切ってしまった今、早く仲直りしなくちゃいけない。
でも、完全に俺と大倉の間には溝が出来てしまった。

丸はどうしたいんやろ。
大倉以上に丸は自分のことを教えてくれへん。

何とか話をしたくても、大倉のことを考えると行動が出来ない。
これ以上大倉に嫌われたくない一心で俺は全てがストレスになっていた。

「………部外者、か」

自分が伝えた言葉がそっくりそのまま返ってくるなんて思わんかった。
でも、大倉の言葉は正論だった。

丸のことを気にする大倉を気にする俺。
大倉と俺の立場は何も違わない。

「そりゃ、腹立つよなぁ………」

自分でも、こんなに大倉を気にしてる理由がわからんくなってた。
俺を支えてくれた大倉を支えたい。
ただそれだけやったのに、どこから間違えたんやろ？

「俺にとって、大倉ってなんなんやろ……」

アホみたいな独り言は誰にも聞かれず落ちていった。