罰ゲーム2 (ページ1)

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黄side ページ1

あれから2日経った。
俺はまだ丸に返信出来てない。
故意的な理由もあるけど、一番は自分もアルバム制作に費やす時間が増えたからやった。

忙しくて丸に会えてない時間が進む。
既読も付けんと放置してるのは、遠回しに忙しいと伝えるため。
避けてるわけやないよ、仕方ないんよ。
そんなふうに伝わってたらええなって思った。
結局は俺が臆病なだけやけど。

「………丸に、会いたい」

無意識に零れる言葉はいつもそれやった。
好きやと認めてしまえば、加速する想いは止められんくて。
それが怖くて返事をする勇気もなくて。

このまま途切れてしまうんやろうか。
もう一度同じことを繰り返すんやろうか。
ここで引き返さないと、二度と元には戻れない。
やけど、もう戻るつもりもなかった。
俺は丸を好きやし、これ以上誰かを好きになることは出来ひんから。

「………なんか、しんど」

ため息と共に目を瞑る。
瞼の裏に映るのはいつだって丸やから、すぐに目を開けるけど。

たった2日やけど、それでもしんどい。
会いたくて震えるなんて歌詞があったけど、俺は会いたくて頭痛がする。
可愛い女の子のように甘えたり、泣き縋ったりなんかは出来やんから、独りで我慢するしかない。
勇気が出る、その日まで。

「はぁ………」

ーーpiririririri

「うわぁっ！！！」

急に鳴り響いた電話に驚いてソファから落ちる。
尻が痛くて、無性に腹が立って、相変わらず頭は痛くて。
八つ当たりのように俺は名前も見ずに電話に出た。

「もしもし！？」

【うわっ！めっちゃ機嫌悪いやん！どうしたん？】

「えっ…………」

返ってきた声で俺は怒りが沈んでいく。
代わりに涙が込み上げてくる。
無言のままの俺に【もしも〜し、大丈夫ですかぁ？】なんてアニメのモノマネなんかしてくる。

なんで、なんでなん？
なんでお前は、そうやって俺を掻き乱すん？

「………まる」

【んふふ、ごめんなぁ急に電話して】

「どうしたん？」

【いやぁ、亮ちゃんの声聞きたなって】

「はぁ？なんやねん、それ」

【そんで、亮ちゃんの声聞いたら会いたくなっちゃって】

ーーﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

良すぎるタイミングで鳴るチャイム。
俺は誰かを確認もせんと、電話も切らんと扉を開ける。

「【だから、会いに来ちゃってん】」

優しく微笑んで耳からスマホを離して、そのままポケットに入れる。
その後、流れるように丸は俺を抱きしめた。

「……会いたかった」

その言葉に俺は涙が溢れた。